辻村深月「家族シアター」。家族の問題でお悩みの方は必読です。

評価:★★★★★

あの子たちのこどなどどうでもいいし、今、実音のために、相手に怒鳴り込めと言われたら、そうしたって構わない。
 この世の中で、せめて家族くらいは、そう思ったっていいだろう。
 「おじいちゃんは、あの子たちが嫌いだ」

(本文引用)
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 「非行は、家族より友だちを優先してしまうことから始まる」-そう聞いたことがあります。

 家族より友だちを優先したあまり、万引きの指示を断れなかったり、夜間に子どもだけで外出してしまったり・・・。

 もちろん誰でも、親より友だちを優先し、ちょっと危ないことをしてしまったり羽目を外してしまったりすることがあるでしょう。

 でも「家族を思う気持ち」が1ミリでも勝っていれば、取り返しのつかないことにはならない。
 家族のうちひとりでも「自分の味方になってくれる」とわかれば、必ず幸せになれる。

 本書を読み、その信念が確固としたものになりました。


 
 辻村深月さんの「家族シアター」は、「家族」の問題でお悩みの方におすすめの一冊。

 今、思春期や反抗期のお子さんに悩んでいたり、兄弟姉妹、親戚同士で何かモヤモヤがある人には、ぜひ手に取ってほしい短編集です。 
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■「家族シアター」あらすじ



 本書は7編からなる短編集。
 第1話「『妹』という祝福」は、ある姉妹の物語です。

 亜季には、真面目で頭のよい姉がいます。
 姉は中学校では、暗くて地味なグループに。
 亜季はそんな姉を恥ずかしく思い、その反動でオシャレに必死。

 顔は姉にそっくりなのに、メイクやファッションで「可愛い華やかな子」として学校生活を送ります。

 その努力の甲斐あり、亜季に彼氏ができます。
 彼は背の高いスポーツマンで、女子に人気の生徒。

 亜季は有頂天になり、彼氏もいない姉をいっそう軽蔑。

 しかしその裏で、姉はあることと闘っていました。

 そして亜季は動きます。

 いちばん大切なものを守ろうと・・・。

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■「家族シアター」感想



 「家族シアター」に登場する物語は、全て同じコンセプト。
 
 「最終的に、私は、俺は、家族を守る」ということです。

 兄嫁の顔色をうかがいながら娘と接していた女性、子どもの行事に何ら関心を抱かなかったパパ、おかしな干渉をしては、息子夫婦や孫娘にうるさがられるおじいちゃん・・・。

 皆、最初はやや頓珍漢な態度で家族と接します。

 でもラストで「本当に大切なもの」に気づいた瞬間、思わぬ力を発揮。
 
 なかでも面白いのが「タイムカプセルの八年」。

 ある男性は、子育てに関してかなり鈍感。
 
 「小学生の息子の運動会に父親も行く」ということもわかっておらず、妻と子どもが家を出る頃にようやく起床。
 さらに息子の夢を打ち砕くような発言を連発。

 妻にも息子にもそっぽを向かれてしまいます。

 そんな彼は、息子たちが埋めたタイムカプセルについて、ある疑問を抱きます。

 タイムカプセルの行方、息子の夢、保護者たちの声・・・そこから徐々に見えてきた意外な真相とは?

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 この「タイムカプセルの八年」は、ラストの爽快感が最高。
 「お父さん、やるう!」と、物語の中に飛び込んでハイタッチをしたくなります。

 世の奥さんは、旦那さんの育児について「・・・えっ?」とか「そうじゃな~い!」と言いたくなる場面も多いと思います。
 
 でも心の底に家族への愛があれば、多少トンチンカンでも、最終的には必ず家族を守ってくれる・・・そう確信できる素敵な物語です。(なので、旦那さんの「そうじゃない」行動にも、今しばらく目をつぶりましょう・・・。)

 第3話「私のディアマンテ」もおすすめ。

 派手好きな義姉とはりあおうと、娘の進路を誘導する女性。
 しかしある日、義姉がとっていたとんでもない行動が発覚。
 
 女性は、今まで小さくなっていた態度をガラリと変え、娘を守ります。

 人間、自分のディアマンテ(ダイヤモンド)がわかると、何百倍、何千倍ものパワーがドカーンと出てくるんですね。
 
 「愛だろ、愛」としか言いようのない彼ら、彼女たちの行動には、思わず「スカッとスカッと!」とボタンを連打しちゃいました。

 私もつい、家族の気持ちより世間体を優先しそうになることがあります。

 でも本書を読んだら、家族と正面から向き合わないといけないなと痛感。
 正面から向き合う勇気を持たないと、どんどん家族という港から、自分という船は離れていってしまい、取り戻せなくなるんだろうな・・・と少しゾッとしました。

 だから「家族シアター」は、私にとってウンと大切にしたい一冊。
 時々読み返しては、「今、私は家族と向き合えてるか」を自分に問いかけていこうと思います。

 何年も、何十年も。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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