2018年本屋大賞の超発掘本!「異人たちの館」(折原一)あらすじ&感想

評価:★★★★★

残された最後の力をふりしぼって洞穴から這い出ると、木の間越しに月が見えた。冴えざえとした光が、地面にパッチワークのような模様を描いていた。
(本文引用)
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 2018年「本屋大賞」の発掘本。
 発掘本とは、マニアックながらコアなファンを持つ一冊。

 折原一さん自身は非常に有名な作家さんですが、「異人たちの館」は今や「知る人ぞ知る名作」といった存在。

 誰もが知っている大スターの、知られざるデビュー曲、はたまたファンの間では人気のあるアルバム曲といった立ち位置です。
 
 実は私、折原一の小説は「耳すます部屋」が大好きで、大切に持っているのですが、この「異人たちの館」がそれにとって代わりそう。

 私の読書人生のなかでも、ここまで翻弄されまくった小説はちょっとありません。

 言い回しがちょっと古いですが(実際、30年以上前の作品なので仕方がありませんが)、掘り起こされた今、ぜひ多くの人に読んでいただきたい作品です。

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■「異人たちの館」あらすじ



 主人公は作家・島崎潤一。

 本当は小説家として羽ばたいていく予定だったのですが、様々な事情で小説だけでは食べていけない状況に。




 
 現在は短編の持ち込みをしながら、ゴーストライターに甘んじています。

 そんな島崎に持ち込まれた仕事は、富士の樹海で死んだとされる青年・小松原淳の伝記。

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 淳の母親は、息子の死を信じてはいませんが、これを機に伝記が出版されれば息子が喜ぶだろう・・・と、島崎に著述を依頼します。

 島崎は小松原家を何度も訪ね、淳の資料を集めながら伝記を書き進めますが・・・?

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■「異人たちの館」感想



  本書の帯には「騙されまくる快感」との文字がデカデカと書かれています。

 そう言われると、「騙されないぞ!」と自ずと気合いが入るもの。
 「あれっ? これってあの人のことじゃない?」、「そっかー、この事件であの人がこうなったと思ったら、違うんだな」などと疑心暗鬼いっぱいの気持ちで慎重に慎重に読み進めました。

 でもですね、これ、騙されるとかそんなレベルではありません。
 「騙されないぞ」なんて考えは、早々に捨てた方が精神衛生上良いです。

 騙されないようにと考えるのではなく、宝探しをする感覚で読むのがおすすめ。

 「この言葉、さっきもあったけど、ここで出てきたということは・・・」と神経衰弱をするような感じで読むと非常に楽しめます(よく考えると、この小説を読むのってかなり神経を衰弱させますね、はい)。

 そしてこの神経衰弱は、1枚だけジョーカーが。

 異人とはいったい誰なのか。
 私たちはいったい誰に追われているのか。

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 カードがめくられ、減っていくうちに、ジョーカーが姿を現します。

 どの部分を書いてもネタバレになりそうなので、感想はこのあたりに留めますが、「小説にどっぷり浸かって、日常生活を振り回されたい」という人に本書はおすすめ。

 しかしミステリー作家の頭ん中って、どうなっているんでしょうね。
 こんな本が書けるなんて・・・人間の能力の無限さ・雄大さに圧倒された一冊でした。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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