睡眠時間が長くても勉強時間が長くても・・・「スマホが学力を破壊する」川島隆太

評価:★★★★☆

 現在は、学校で部活の連絡にLINE等を使うのが普通になってきていますので、しかたがないのかもしれません。
 しかし、あえて、読者の皆さんに問いたい。ここまでのデータをみて、「しかたない」で済ませてしまって本当に良いと思われますか?

(本文引用)
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 「スマホが学力を破壊する」・・・このタイトルを見て、たいていの人が「まあ、それはそうだろうなあ」と思うことでしょう。

 本も読まずにスマホスマホ、勉強もせずにスマホスマホ、お風呂のなかでも布団のなかでもスマホスマホで、学力が上がるわけがありません。

 自分で考えることもせず、すぐにスマホで検索し、どこの誰が適当に言い出したかわからない情報を真実と思いこみ、深く検証もせず知ったかぶりをして生きていくのですから、頭の中がドロドロになるのは当たり前です。

 よって、私は本書に対し、あまり期待をせずに読みました。

 「わかっていることを、何を今さら」という、穴に入りたくなるほど恥ずかしい気持ちで手に取ったのです。



 今にして思えば、そういう傲慢な考え方こそが、スマホのテキトーな情報に踊らされている証拠なのでしょう。

 本書が説く「スマホ学力破壊説」は、予想と大きく違うものでした。

 スマホが学力を低下させるのは学習時間や睡眠時間が減るから・・・ではないんです。
 ね? ちょっと驚くでしょ?(あれ?驚かない?)

 学習時間と睡眠時間は、この際いっそ忘れてください。

 本書のデータが明らかにするのは、「スマホ=学習時間=睡眠時間」の連動をスパッと断ち切るもの。

 ずばり「スマホそのものが学力を低下させる」ということがわかります。
 なるほど、著者が巻末でいうとおり、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズが子どもに「スマホをはじめとするデジタル機器を一切与えない」わけです。

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 本書では仙台市の小中学生を対象に、数年かけて「携帯・スマホ」と「学力」との相関関係を徹底調査。
 印象による誤り等が生じないよう、全生徒・児童に背番号をつけ、どの学校の誰なのかがわからない状態で追跡調査をしていきます。

 その結果、睡眠不足と学力低下は確かに結びつくことが判明。学習時間と学力の相関関係もはっきりしています。

 ところがここにスマホ利用時間が加わると、やや結果が揺らいできます。
 グラフをよくよく見てみると、スマホの弊害がまざまざと見えてきます。

 睡眠時間が長くても、極端に学力が低い層が存在。
 学習時間が長くても、極端に学力が低い層も存在。

 睡眠時間が長くて学力が高い層と、低い層。
 学習時間が長くて学力が高い層と、低い層。


 調査結果のグラフをよくよく見てみると、その違いは明らかに「スマホを利用している時間」なのです。

 たとえば、睡眠時間が同じ6~8時間の層を比較。
 スマホの利用時間が1時間未満だと学力が非常に高く、スマホ利用時間が4時間以上だと格段に学力が低くなっています。

 また、家庭学習時間が2時間以上の層も同様。
 家庭学習時間が2時間の生徒のうち、成績がいちばんよいのはスマホ使用時間が1時間未満の層で、いちばん悪いのはスマホ使用時間が4時間以上の層です。

 本書ではさらに、スマホの影響を追跡調査。
 スマホの使用時間を1時間未満から1時間以上に増やしてみたり、逆に1時間以上から1時間未満に減らしてみたり・・・。
 
 その結果は愕然とするもの。

 「学力に及ぼすスマホの影響」は、もはや「待ったなし!」の大問題といえます。

 では、スマホの何がいちばん問題なのか。
 
 その理由を知りたいと思った瞬間、スマホから真犯人(=あるアプリ)が、あなたに呼びかけるかもしれません。
 まるで、あなたの気をそらせるように・・・。

 実は以前、他の本で「スマホに関するある実験」を読みました。

 人を2グループに分け、1つのグループはスマホをポケットにしまい、もう1つのグループは電源を切り鞄にしまってもらいます。
 そこで2グループに全く同じ作業をしてもらったところ、スピードに明らかに差があったとか。

 この実験結果は、本書が説く「スマホ学力破壊説」とつながるものがあります。

 スマホって、脳内の快感物質が出まくるよう、実にうまく作られているんでしょうね・・・なんて感心している場合じゃない!
 「これから学力を伸ばしていくべき小中学生が、この快感物質に触れたらえらいことになる!」と、焦らなくてはならないのです。

 では親として、どうすべきか。
 その答えは、子どもという生き物の性質から考えると明白です。

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 たとえば子どもは、親が口に入れるものを口に入れてしまうもの(※だから子供の目の前でヤカンのラッパ飲みをしたり、喫煙およびタバコの吸い殻を空き缶に入れたりすることは絶対厳禁!
 宝くじが当たるようにと毎日宝くじにキスをしていたら、子どもがその宝くじを食べてしまったという事件もあるとか・・・)。

 そう考えると、「スマホによる学力破壊」を防ぐために親がとるべき行動は、自ずとわかりますよね。
 本書204ページのような行動をとっていたら、ピコーンピコーンと限りなく赤に近い黄信号が灯っていますよ。
 (私も気をつけます。)

 この「スマホ学力破壊説」、まだまだ実験・分析の余地がありそう。

 「スマホ=学力破壊」を念頭に置きすぎると目がくもるので、新たな分析結果には、まっさらな気持ちで向き合わないといけません。

 スマホも今後、どう変わっていくかわかりません。
 もしかすると前頭葉や海馬を発達させる脳トレツールになるかもしれません。

 でもとりあえず今は、学力低下の原因となっていることは認めざるを得ない様子。
 ここは素直に、本書の結果や助言に従っておくのが吉と言えそうです。

 親として襟を正しながら、次回作を待ちたいと思います。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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