直木賞候補作「彼方の友へ」(伊吹有喜)は命の洗濯になる上質な一冊!

評価:★★★★★

 「お宅では読者をこう呼ぶんでしたね。『友』と」
(本文引用)
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 最近、注目している伊吹有喜さん。
 本作「彼方の友へ」は直木賞候補作ということで、手に取りました。

 「ああ、やっぱり伊吹さんの小説はいい」

 心の底からジンワリと、そう思わせてくれる小説でした。

 伊吹有喜さんの小説で、かつて優しさや元気をもらった人。
 伊吹有喜さんは知らないけれど、「よーっし!新しい年の始まりだ。頑張るぞ!」と気合を入れたい人に本書はおすすめ。

 新年、明るい気持ちで滑り出したい方すべてに「読んでみて!」と言いたい一冊です。




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■「彼方の友へ」あらすじ



 主人公の佐倉ハツは、現在老人ホームに入居しています。

 ある日、ハツの手元にカードの贈り物が届きます。

 それは昔、ハツが編集していた「乙女の友」の附録でした。

 その瞬間、ハツの心はタイムスリップ。

 雑誌作りに情熱を傾けた日々、男だらけの職場で奮闘したこと、学歴がないために恥じ、苦しんだこと、そして心から愛し尊敬できる人と出会ったことを思い出します。

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■「彼方の友へ」感想



 「彼方の友へ」は、主に昭和初期が舞台なので、言葉遣いがちょっぴり古めかしいです。

 特に本書は雑誌作りを描いているだけあり、登場人物1人ひとりの言葉がとにかく丁寧で律儀。
 若い人にとっては、まどろっこしさを感じてしまうかもしれません。

 でも、そこをグッとこらえて読んでみてください。

 話す言葉、書く言葉、読む言葉に心をこめ、花を温めるようにコミュニケーションをとることが、いかに心を豊かにするかに気づきます。

 貧富の差や学歴の差別、男尊女卑が跋扈している時代。
 ハツをはじめとする女性陣は、口にするのも辛い出来事がしばしば立ちはだかります。

 でも彼女たちと、彼女を守る良識ある男性陣は、どんなに失礼なことを言われようと背筋を伸ばし、美しい言葉でゆったりと返します。

 ぶれる人間(=失礼な言葉を浴びせる人間)は、ぶれない人間に勝つことはできないと言います。

 「乙女の友」の編集者たちを見ていると、まさに「ぶれない人間は最高に強く、最高に美しい」ということを確信でき、スカッとします!

 それにしても、なぜ彼らはそこまで「人としての強さ・美しさ」を保つことができたのでしょうか。

 それは全国の「友」に、最上のものを届けるという信念があったからです。

 「乙女の友」を待っている、全国の「友」に幸せと歓びを運ぶ。

 何が何でも「友」を守り、「友」を大切にする並々ならぬ情熱が、一本筋の通った「彼らの姿勢」を支えていたのです。

 恋愛に限らず、誰かを本当に愛することは、どこまでも人を強く美しくするんですね。

 本書を読み、改めてわかりました。

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 あとそうそう、「彼方の友へ」を読むと、本や雑誌がとてつもなく愛おしく思えてきますよ。

 1ページ1ページが、われわれ読者=「友」に向けて作られたものだと思うと、涙が出てくるほど。

 本好き、雑誌好きという方は必読の小説です。

 心洗われる読書がしたい方、本や雑誌が大好きな活字中毒気味の方に、「彼方の友へ」は全力でおすすめ!
 書籍の見方がガラリと変わってきますよ。

 もしかすると捨てられなくなって、家中が本だらけ・雑誌だらけになっちゃうかも・・・。


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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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