「サピエンス全史」上下巻読了し、「今読むべき1冊」と再確認。「差別」の解説が心に刺さります。

評価:★★★★★

 私たちは仲間の動物たちや周囲の生態系を悲惨な目に遭わせ、自分自身の快適さや楽しみ以外はほとんど追い求めないが、それでもけっして満足できずにいる。
 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?

(本文引用)
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 2017年を代表する本「サピエンス全史」。
 昨年末に上巻を読み終え、年始にかけて下巻を読み終えました。


 
 上巻の終盤から下巻にかけては、人類の歴史というものをすっかり忘れて読みふけりました。

 なぜなら「現代人として、人として、グサグサと刺さる内容」だったからです。

 刺さった理由は、差別の歴史が容赦なく書かれていたから。
 
 著者は「サピエンス」「人類」という視点から、人間社会で脈々と続く「差別」について解説していきます。
 
 まず基本的なところでは男女差別。
 他、黒人差別やインドのカースト、ナチスのユダヤ人迫害等、あらゆる「差別」について人類学的に紐解いていきます。

 「差別」について考えていくうえで、本書がひとつポイントとして掲げるのは「生物学的にそれは正当化されることなのか」です。

 たとえばアパルトヘイトで黒人が入れない浜辺。
 黒人と白人とで紫外線による影響が異なるから、黒人と白人を分けているという言い訳があるとすれば、それは成り立つのか?

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 未だに根強い男女差別。
 筋力や瞬発力が強いというだけで、男性は女性の人権を踏みつぶす権利があるというのか?

 強姦をした場合、謝る相手は女性ではなく、女性を所有している夫だという理不尽な社会がある事実を、私たちはどう受け止めるべきなのか?

 僧侶は口から作られ、奴隷は脚から作られるという説でカーストを正当化できるのか?

 ナチスがアーリア人種を最上のものとしたのは、生物学的に証明できるのか?

 著者は「世界は統一に向かっていく」としながらも、差別の根強さについて多角的な視点で説いていきます。

 そして上下巻を通し、本書ではたびたび「サピエンス」についてこう語ります。

 我々は全体の不幸よりも個人の不幸を重要視してしまう、と。

 そもそもネアンデルタール人の排除から始まったサピエンスの歴史。

 本書は地球や生命の誕生から、科学の発展まで「人類の歴史」をじっくりと見つめていきます。

 でも本書を読む限り、人類の内面はあまり変わっていない様子。

 つまるところ我々は「集団の不幸・利益よりも、個人の不幸・利益を重んじてしまう」生き物のようです。

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 今、世界的に改めて「差別問題」が浮き彫りとなっています。

 移民への差別、暴露されるセクハラetc.

 昨今起きる事件と本書を照らし合わせると、いくら技術が発展しても、心の中に深く根付く差別意識・排除意識はまるで変わっていないということに驚かされます。

 だからこそ今、「サピエンス全史」は読まれるべき本なのでしょう。

 単なる社会・歴史・科学の教科書ととらえず、自分の心にある「差別・排除意識」を見つめる・・・「サピエンス全史」は、そんな「人としての課題」「人生のバイブル」として読みたい一冊です。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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