「このミス」第1位!「屍人荘の殺人」感想。鮎川哲也賞受賞・週刊文春ミステリー等賞を総なめするのも納得の面白さでした。

評価:★★★★★

 真の完全犯罪は警察をギブアップさせることじゃない。犯罪として露見すらしないものだよ。
(本文引用)
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 いやはや、すごいミステリーが現れたものです。
 「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10 国内部門」「本格ミステリ・ベスト10」全て第1位!
 それに加えて鮎川哲也賞まで受賞しているというのですから、「これは読まなくちゃ!」と思ったのですが、納得の面白さでした。

 面白いというよりも、何だろう・・・とにかく凝ってる!

 豪華なケーキにナイフを入れたら、中からさらに色とりどりのお菓子がクラッカーのようにパーンと出てきたような。
 はたまた、豊潤なチョコレートクリームがトロ~ッと出てきたような。



 そんな掘っても掘っても美味なお菓子が転がり出てくるような、ぜいたくな面白さがありました。

 こんなに凝りに凝ったミステリーは、なかなかありません。
 
 本書を特におすすめしたいのは、ミステリー小説を読んでも先が見えてしまって楽しめなくなってきている人。
 年齢を重ねると、中学・高校時代のような「そんなトリックだったのか~!」みたいな新鮮さがなくなってくるんですよね。

 色んな経験を経るのは良いことですが、ミステリー小説に関しては、経験値が邪魔になってきちゃいます。
 
 そんな「もうどのミステリーを読んでも、トリックや犯人がわかってしまって面白くない!」とくすぶっている人に、「屍人荘の殺人」はおすすめです。
 
 またミステリー小説を読む情熱が、ムクムクと湧き上がってきますよ。
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■「屍人荘の殺人」あらすじ



 ある大学の映画サークルが、夏合宿を企画。
 合宿の目的は、「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」のような心霊映画を撮ることです。

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 ところがそこに「今年の生贄は誰だ」という脅迫状が届きます。

 合宿参加者は密かに怯えを見せます。

 その一方、合宿所近くでテロ事件が進行中。

 テロ事件が起こると同時に、合宿所でも事件が発生。

 さて、この二つに関連性はあるのか?
 
 犯人像も事件の全体像も全くわからないまま、彼らは合宿所に閉じ込められるのですが?
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■「屍人荘の殺人」感想



 本書には、この物語を象徴する一節があります。

 「今朝の密室談義の続きです。いくつかの密室パターンについて話しましたが、実はずいぶん前から、ミステリでは密室トリックの鉱脈は掘りつくされたといわれているんです」
 「それは大変じゃない。本が売れなくなっちゃう」
 「ええ。ですが実際にはまだミステリは書かれ続けているし、密室を売りにした作品も存在し続けている。最近の作品の特徴の一つが、複数のパターンを組み合わせることで問題を複雑化することなんですよね」


 この部分を読んだ時、思わずコーヒー吹きました。
 だって、本書はまさに「複数のパターンを組み合わせて問題を複雑化し、密室を売りにしている作品」なのですから。
 
 自分の作品の作風を、セリフに混ぜ込んでしまうなんて、ヒッチコックが自分の映画にこっそり登場するような粋なユーモアを感じました。
 とびきり本格的なミステリーなのに、こんなユーモアを見せるあたりが、物語の面白さを倍増させています。

 でも「屍人荘の殺人」の凝りようは、こんな表現では足りません。

 物語中にチョコチョコ「ホワイダニット(Why done it?)」、「ハウダニット(How done it?)」、「フーダニット(Who done it?)」という言葉が登場しますが、その3つが3つとも最後まで謎。

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 たいてい「誰が」がわからなくても「どうやって」はわかるなど、3つのうち1つは推理できそうなものですよね。

 でも「屍人荘の殺人」は、3つとも同時並行で最後まで謎。

 満漢全席の全メニューが全て同じように減っていくように、「誰が」「なぜ?」「どうやって?」がここまで等しくもつれこむミステリーは珍しいです。

 テロ事件との絡みも見事。

 一見、「このエピソードいらないんじゃない?」と言いたくなるような出来事も、後から効いてくるので目が離せません。

 三冠を達成するのも大いにうなずける、国宝級に凝ったミステリーでした。
 よくここまで考えるな~と、作者の今村昌弘さんに心から拍手を送ります。

 もしドラマ化するなら、剣崎比留子役を竹俣紅さんに演じてほしいです。
 清楚なんだけど性格がサッパリしてそうで、頭が切れる感じがピッタリだと思うんだけどな。

 映像化を熱望します!

 (※余談ですが、最近の若い人はブルース・スプリングスティーンを知らないんですね・・・。
 米国ロックの宝と言える人だと思うのですが、そこに世代を感じました。)




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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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