芦沢央「バック・ステージ」はダブルでミステリーが楽しめるお得な一冊

評価:★★★★☆

まさか、こうきたか。
(本文引用)
______________________________

 「バック・ステージ」というタイトル通り、舞台裏を描いたミステリーです。

その舞台とは2つ。

実際のお芝居の舞台裏と、人生の舞台裏。

イヤな奴を成敗するには、ありとあらゆる下準備が必要。
小道具ひとつ、タイミングひとつずれれば計画は台無しになってしまいます。

さて、嫌われ者のパワハラ野郎をやっつけるべく、彼らが奮闘する舞台裏とはいかに?



_____________________________

■「バック・ステージ」あらすじ、

主人公の松尾は、広告会社の若手男性社員。
彼には、ある悩みがありました。

それは、職場にパワハラ上司がいること。

パワハラ上司・澤口は、松尾の後輩・玉ノ井愛実を毎日いじめます。

玉ノ井は必死に耐えて仕事に取り組みますが、周囲の人間も澤口の態度には辟易。
何とか玉ノ井さんを救いたい、澤口をおとなしくさせたいと考えます。

そんなある日、松尾の先輩・康子さんが、澤口に関する意外な情報を入手。
どうやら澤口は、取引会社から違法なキックバックをもらっているらしいのです。

康子は無理やり松尾を誘い、澤口やっつけ作戦を実行。
澤口の背任行為を、証拠をつけて社長に送りつけようと画策します。

康子と松尾は様々な変装をし、あの手この手で澤口の家族に接触。
ついにキックバックの証拠を手に入れ、鞄に押し込みます。

ところが図書館で、誰かが鞄を取り違えてしまい・・・?
______________________________

■「バック・ステージ」感想

「バック・ステージ」は連作短編集。

序幕・終幕ふくめ6編から構成されており、それぞれ主人公は異なります。

でも読むうちに、他の話と絶妙に絡み合っていることに気づきます。

たとえば第一話で登場した図書館や、康子さんが対応した図書館利用者が第二話に登場

康子さんと松尾くんの知らないところ、いわばバック・ステージで、もうひとつの人生劇場が始まっていたことがわかります。

そんな「まさか、そんなところであんなことこんなことが影響していたとは!」と発見できるのが、この小説の面白さです。

本書を読んでいると、「自分の一挙手一投足が、今この瞬間に、全然知らない人に影響を与えているのかもしれない」とゾワッとします。

帯に、道尾秀介さんが言葉を寄せています。

「人生も、面白いのはいつも舞台裏。
見えている部分なんて大したもんじゃない」


この小説の「見えている部分」とは、松尾と康子の「澤口失脚大作戦」です。

そして舞台裏には、康子が一瞬だけ触れた小学生や、大物女優の老化に気をもむ芸能マネージャーが交錯。
彼らも舞台裏なりに、人生を必死に生きています。

5a4678e7bb9a81be5de4fefd82fb26fe_s.jpg


松尾も康子も、舞台裏の人々も懸命に生きているからこそ様々な壁に直面。

「バック・ステージ」は、そんな人生の壁を乗り越える方法をミステリー仕立てにしています。

いわば本書は、ダブルでミステリーが楽しめる物語。

澤口を追い詰めるまでのミステリーと、その裏で起こった通りすがりの人々のミステリー、両方を楽しむことができるんです。

そう考えると、この「バック・ステージ」、かなりお得な一冊ですね。

表舞台も舞台裏も、「なるほど、そうきたか」「まさか、こうきたか」と驚くことばかり。

1分1秒を惜しんでミステリーに浸りたい方には、かなりおすすめです。

ちなみに本書には、裏表紙に「お楽しみ掌編」を収録。

思わず「まさか、こうきたか」とつぶやいちゃいますよ。

詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告