2018年1月公開!映画「ミッドナイト・バス」の原作は、読む人を朝へ運んでくれる名作!

評価:★★★★★

「暗がりは抜けたんだよ。たった一人で、もう走ってこなくていいんだ」
(本文引用)
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 2018年1月から公開される映画「ミッドナイト・バス」原作。
 この映画、キャスティングが見事です!

 主演が原田泰造さんで、別れた奥様役が山本未來さん、現在の恋人役が小西真奈美さんなのですが、どれも「ピッタリ~!」と悶絶してしまいました。

 今、注目の女優・葵わかなさんも出演されるとか。

 公開されたら、ぜひ観たいです。

 この「ミッドナイト・バス」は山本周五郎賞と直木賞の候補となった小説。



 受賞は逃したものの、1人ひとりの人間が持つ強さと弱さ、優しさと残酷さという二面性が情感たっぷりに描かれていて、「ああ、人間ってこうかもしれないなあ。だから人間って人生って面白いのかもしれないな」としみじみと読みふけりました。
 でも、こうも思うのです。

 人間がもつ真実がたった1つなら、どんなに楽に簡単に生きられるだろうって。

 誰が人間をこんなに複雑にしてしまったのだろう。辛いのに!なんて、ちょっと地団駄ふんでしまいました。

 そう思わせるほど、この「ミッドナイト・バス」が面白かったということ。

 人生ってなかなかうまくいかないし、暗い道ばかりのような気がするけれど、深夜バスのようにとにかく前に進むよりほかないんですね。
 朝が来ても来なくても歩き続けていれば、漆黒の空が濃紺になり、やがて白み始めてくるだろう・・・。

 そんなことを信じさせてくれる小説でした。
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■「ミッドナイト・バス」あらすじ



 主人公の高宮利一は深夜バスの運転手。

 成人した息子と娘がいます。

 妻・美雪とは16年前に離婚。
 利一の母親にさんざん泣かされ、家を飛び出していったのです。

 ある日、利一が担当するバスに美雪が乗車。
 利一は若い恋人がいながらも、元妻との再会に心を揺らします。

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 一方、息子と娘も人生につまずいている様子。
 特に息子はアレルギー性の湿疹が悪化し、背中が血だらけに。

 心に何か、深い悩みを抱えているようです。

 利一と美雪、恋人の志穂、そして息子と娘・・・一度壊れてしまった彼らは、もう一度元に戻ることはできるのでしょうか。

「どうして僕らはもっと早く・・・・・・ばらばらになる前に、うまく立ち回れなかったんだろうね」

 彼らは、人生のミッドナイト・バスから抜け出すことが果たしてできるのか・・・。
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■「ミッドナイト・バス」感想



 この小説は、「自分がマイノリティかもしれない、異端かもしれない」と悩んでいる方におすすめです。

 たとえば家庭環境が所謂「普通」と違っていたり、恋愛や結婚、出産の形が「普通」と違っていたり。

 人間、ライフスタイルやライフステージが少しでも規格からはずれていると、ついコンプレックスを抱きがちです。

 でもこの小説は、そんな方々を日の光の下に運んでくれます。

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 一見、世の中のほとんどの人は「普通」で「常識的」な家庭を作っているように見えます。

 でも本書を読むと、「普通で常識的な」家庭なんてまず存在しないことがわかります。

 そして、自分が普通で常識的な家庭を思っている人間ほど残酷であることも。

 たとえば本書で印象的なのが、利一の娘・彩菜の結婚話。

 彩菜の恋人は、自分の家庭を普通で常識的と信じて疑わない青年。
 彩菜が男手ひとつで育てられたことと、実母を憎んでいることを全て受け止めて彩菜を愛しますが、そこにはどこか真剣味が感じられません。

 「普通で常識的(と自分では思っている)な彼は、異端であることにコンプレックスを抱いている人に対し、あまりにも鈍感です。

 一方で、「自分を異端である」と思い悩む人は、異端である人に対し寛容であり、結果、周囲の人の心を救います。

 異端でありマイノリティであることは、それだけ雄大で優しい人間になれる・・・「ミッドナイト・バス」はそんなことを優しく包み込むように、諭してくれるんす。

 自分を異常であると悩む人は、人生の深夜バスに乗っているような気になるかもしれません。

 社会に適合できないと、自分以外は皆、太陽の光の下を歩いているように見えるかもしれません。

 でも、本書を読めば、必ず夜は明けると信じることができますし、朝になるまで歩きつづける元気がわいてくることでしょう。

忘れない。初めての人、初めての夫。
私の人生が夜のとき、明け方まで運んでくれた人。

 この途轍もなく優しい物語は、読む人皆を明け方まで運んでくれます。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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