映画「少女ファニーと運命の旅」原作!「ファニー 13歳の指揮官」ファニー・ベン=アミ

評価:★★★★★

「守護天使さん、おねがい。どうか助けて。今度こそ自由になれるように、わたしたちを守って。逃げるのはこれが本当に最後になるように・・・・・・」

(本文引用)
______________________________

 映画「少女ファニーと運命の旅」原作。

 朝日小学生新聞で薦められていたので、手に取りました。

 本書を読んで、まず湧き上がるのは戦争に対する怒りです。

 戦争は、弱い者が犠牲になります。

 社会の強者は、戦争を「国のため」と言うかもしれません。

 でもそんな強者の身勝手、勝者の論理でいちばん傷つくのは、いつでも一番守られるべき弱者なんです。



 本書の翻訳者、伏見操さんも「訳者あとがき」でこう語っています。 

戦争においてもっとも苦しむのは、戦争を起こした「国」ではなく、いつもいちばん弱い人たち-とくに子どもです。それは戦争に勝っても負けても変わりません。


________________________________

■「ファニー 13歳の指揮官」あらすじ



 ファニーはユダヤ人の少女。
 第二次世界大戦直前、ナチスがドイツを支配したと同時に、家族でフランスに逃げてきました。

 理由はもちろん、ユダヤ人迫害から逃れるためです。

fbbcffa8de6d45f031d9f66ab99c8be1_s.jpg


 しかし密告により、ファニー一家は警察に追われ、親子は引き裂かれます。

 ファニーは幼い妹2人と共に、子どもたちだけでスイスに逃げる計画に参加します。

 ところが途中で、リーダーの青年が逃亡。
 急きょファニーが、リーダーを任されることになります。

こうしてわたしは、スイスへ、そして自由へむかって逃げる。十一人の子どもの命をあずかることになったのだった。

 たった13歳で、大変な重責を担ったファニー。
 彼女たちに待ち受ける運命とは?
_____________________________

■「ファニー 13歳の指揮官」感想



 本書を読むと、戦争とは差別とは、何と残酷なことかと胸を締めつけられます。

 ファニーら子どもたちは、戦争と差別により生命の危機にさらされます。

 少し声を出すだけで、憲兵に見つかるのではと恐怖に怯え、「今日が人生最後の日かもしれない」という思いで、ひたすら歩きつづけるファニーたち。

 文章からその姿を想像するだけで、「何で幼い子どもたちが、大人が勝手に始めたことで、こんな苦しみを味わわなければならないのだろう」と憤りを感じます。

 たとえばこのくだりからは、ファニーたちの並々ならぬストレスがうかがえます。

最後の食事・・・・・・それってどういう意味? ふたりの看護婦さんは何について話していたの? 最後の食事ってことは、わたしたちを殺すつもり? だから憲兵は昨日、あんなにものわかりがよかったの?
 わたしは窓という窓、壁という壁を調べ、どこかに割れ目やすき間がないかさがした。早くここから逃げなくちゃ。でも、どうやって? どうしたらいいの? 扉には鍵がかかり、銃を持った憲兵たちが見張っているというのに・・・・・・。

  「子どもの脳を傷つける親たち」にも書かれていましたが、大人の役割は、子どもが安心して過ごせる場を作ることです。

 子どもは心安らぐ生活を送ることで、愛情や優しさ、適切な判断力や社会性を身につけ、巣立っていきます。

 しかし戦争や差別は、子どもを絶え間ない恐怖に陥れます。

 戦争と差別は、子どもを守るべき大人たちが、寄ってたかって子どもを壊していくことなんです。

 この物語は、著者が体験した実際の出来事をつづったものです。

 よってエピローグでは、ファニーをはじめ妹たちのその後についても書かれています。

8af4314da1795d8a2db8d8a491636736_s.jpg


 そこからは大きな悲しみも喜びもうかがえますが、戦争の悲惨さや理不尽さを決して忘れてはならないという熱意も、ヒシヒシと伝わってきます。

 戦争の酷さと虚しさを次代に伝えていくために、大人も子どもも読みたい名著です。

詳細情報・ご購入はこちら↓

関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告