親の行動で本当に脳は変形する!「子どもの脳を傷つける親たち」友田明美

評価:★★★★★

「もし、あなたが生き延びることができたら、わたしが愛していたことを忘れないで」
(「あとがき」より)
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 「強烈なストレスを受けつづけると脳がしぼむ」ー以前、こう聞いたことがあります。

 私が高校生の時、歴史に残る凶悪事件が起こりました。

 遺体を解剖したところ、被害者の脳が委縮していたことが判明。

 長期間にわたる苛烈な暴行や、常軌を逸した屈辱を受け続けた結果、脳が変わってしまっていたのです。

 被害者の方の悔しさや悲しさ、そして遺族の方々の辛さを思うと・・・20年以上たった今でも、胸の中でそっと手をあわせます。

 ところでこの事件、他人事だと思いますか?



 さすがにたいていの人は、この事件の加害者のような行動はとらないでしょう。

 でももしかすると、私たち親も子供の脳をジワジワと委縮させているかもしれないのです。

 子どもへの暴力・体罰・性的虐待はもちろん、スマホに夢中で子どもの言葉を無視したり、帰ってきても顔も上げなかったり、子どもの目の前で配偶者を罵ったり、宿題のやり方を指図したり・・・その行動1つひとつが、子どもの脳を変形・萎縮させてしまうのです。

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 本書「子どもの脳を傷つける親たち」は、科学的側面から徹底的に「親の行動が子どもの脳を変形させる」ことを実証していきます。

 この本を読んでから、私は子どもへの接し方がかなり変わりました。

 別に優秀でなくてもいい。穏やかな気持ちで、大過なく人生を過ごしてくれれば・・・。

 子どもに対してはそれぐらい呑気に構えていましたが、実は親のちょっとした行動で、それすら難しくなってしまうんですね。

 本書を参考にして、せめて子どもの脳を変形させることだけはすまい、と心に誓いました。
 (手遅れでなければよいのですが)
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 本書の著者・友田明美さんは、福井大学子どものこころの発達研究センター教授。
 ご自身も二児の母親で、子育て上の失敗談なども交えながら、「親の言動と子どもの脳」について徹底分析・解説していきます。

 本書のキーワードは「マルトリートメント」
 聞き慣れない言葉ですが、日本語では「不適切な養育」という意味になります。

 このマルトリートメントの範囲は、報道されるような暴力や性的虐待等にはとどまりません。

 たとえば子どもは可愛がっていても、子どもの目の前で夫婦ゲンカをすること。
 配偶者に対し暴力・暴言を吐くこと。

 その他、子どもの恥じらいを大切にしなかったり(着替えを見られるのを嫌がるのを無視する等)、強度の近眼なのに眼鏡を買ってやらなかったり、病院に連れて行かなかったりするのもマルトリートメント。

 子どもの言葉を無視する、子どもが抱っこや手つなぎを求めても応えてやらない、帰宅しても顔も上げない、宿題のやり方を指示・命令する、兄弟姉妹間で比較する等々は、全てマルトリートメントになるのです。

 マルトリートメントを受け続けた子どもは、学校で乱暴を働いたり、物忘れがひどかったり、おもらしをしてしまったりと問題行動が現れます。

 その他、体調不良を頻繁に訴えたり、特定の場やグループ行動を極度に嫌がったりするなど、様々な行動が現れます。

 全てが全てマルトリートメントのせいというわけではありません。

 しかし、マルトリートメントが一因になっていることが多いのは確かなようです。

 本書では、その説を医学的見地から分析。

 たとえば両親間のDVを長期間目撃してきた子どもは、脳の視覚野が委縮します。

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 人間の体は自分で自分を守ろうとするので、不快な場面を見せられ続けることで、視覚をつかさどる部分が縮んでしまうのです。

 また暴言を浴び続けると、聴覚野が逆に膨大するとのこと。

 脳の神経伝達は、成長とともに剪定され、効率的な形になっていきます。

 しかし暴言を繰り返し聞かされることで、その剪定がうまくいかなくなり、脳神経は雑木林状態に。
 結果、心因性難聴などを引き起こし、情緒不安定や人間関係の不和などにつながっていくそうです。

 保護者の行動ひとつで、ここまで子どもたちの脳は変形し、人生に大きな瑕疵を与えてしまうとは・・・読みながら心の底から戦慄しました。

 そういえば、虐待は連鎖するといいますよね。
 脳が変形してしまった子どもが成長し、親になるのですから、連鎖するのも無理はないのです。

 とはいえ、子育てをしているとつい、あれこれ口を出してしまったり、イライラして心にもない言葉を吐いてしまったりしますよね。

 私もしばしば「ああ、何であの時あんなことを言ってしまったのか。あの時にもう一度戻ってやり直したい!」と反省・後悔してしまいます。

 もしも「私は親として大丈夫だろうか?」と少しでも思ったら、ぜひ本書を読んでみてください。

 そして「どうすれば子どもの脳を変形させることなく、楽しく穏やかに子育てができるのか」悩んでしまったら、特に本書終盤をじっくり読み込んでみてください。 

子どもは大人のミニチュア版ではない-。

  その言葉をカギに、「イライラしない子育ての考え方」が書かれています。
 医学的見地からしっかりと書かれているので、心から納得できますよ。 

子どもに必要なのは、安心して成長できる場所です。それを与えることができるのは、われわれ大人だけです。

 子どもが大きくなるのはあっという間。
 お互い、子どもが安心して成長できる場所をつくれるよう、がんばっていきましょう!
 私も未熟ながら、本書をバイブルにしてがんばります。

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 ちなみに冒頭に挙げた引用部分は、ある災害に遭った女性が遺した言葉。
 このメッセージを受け取った赤ちゃんは、今9歳になっていると思いますが、母親を失っても健やかに成長していることでしょう。

 彼女の遺したメッセージは、「適切な養育」を凝縮させたものといえるでしょう。

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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