子供の受動喫煙防止が「責務」に。村田陽平著「受動喫煙の環境学」は授業喫煙対策の必読書!

評価:★★★★★

「迷惑」という言葉は人間の主観に留まる言葉であるが、受動喫煙は、「迷惑」というレベルではなく、健康被害を生む「危険」なレベルのものである。
(本文引用)
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 今月5日、東京都議会で「子どもを受動喫煙から守る条例」が成立しました。

 条例では「18歳未満の子どもに受動喫煙をさせないよう務めることを、都民の『責務』」と規定。
 個人宅や車の中など私的な空間に立ち入った内容なので、十分な審議が必要とされていましたが、全国で初めて都道府県条例として定められました。
 
 ちなみに私が住んでいる市では、飲食店の受動喫煙防止対策が推進されています。
 よって、子供連れでレストラン等に行くと、店員さんは必ず禁煙席に誘導。


 
 わが家は誰もタバコを吸いませんし、私は大の嫌煙家なので、非常にありがたいです。
 愛煙家の方は、どう思っているのかわかりませんが・・・。

 ともあれ、今回の条例制定は「タバコのない社会」に向けて大きく前進したもの。

 2020年の東京五輪は「たばこのない五輪」を目指していますし、個人的にはこのまま「タバコのない社会」に真っすぐ突き進んでほしいなと思います。
 (それにしても、タバコを吸う人って本当に減りましたよね~。
 現在、成人男女の喫煙割合は2割を切っているとのこと。
 確実に、タバコのない国になってきていますね!)

そこで今回読んでみたのが、「受動喫煙の環境学 ~健康とタバコ社会のゆくえ~」

 第13回人文地理学会賞(一般図書部門)を受賞した本ですが、これは喫煙者も非喫煙者も超必読!

 「環境学」と聞くと、タバコが自然環境を破壊するようなイメージがありますが、ここで書くのはむしろ「心・人間関係の環境」。

 受動喫煙の有害性はもちろん、「タバコ産業は受動喫煙についてどう思っているのか」まで徹底究明。

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 あたかも非喫煙者に気を遣ってますよーと言わんばかりの、タバコ利権のレトリックまで暴いており、「だからタバコはなくならないのか!」と思わず膝を打ちます。

 たとえば、少し前に中吊り広告にあった「大人たばこ養成講座」。

 あれって、当時は「マナーを守ってタバコを吸うのが大人の愉しみ」みたいな感じで表現されていて、話題になりましたよね。

 でも、本書にも書かれていますが、あの広告は「タバコのススメ」とも言えるんですよね。

 よく考えたら「タバコそのものを吸わないのがいちばん」なのに、あたかもマナー良くタバコを吸うのがかっこいいかのように喧伝。

 今だったら炎上するところですが、当時はネットもSNSもなかった時代。

 世間はいつの間にか、「マナーよくタバコを楽しむ。これ、大人のたしなみ」みたいな意識を植え付けられてしまっていたんです。

 また本書では、タバコとセクシュアリティについても厳しく言及。
 特に「タバコと男性」を結びつける誘導策に、社会はまんまとはめられていたことがわかります。

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 本書を読むと、タバコに関するマインドコントロールの恐ろしさに驚愕。
 「これは、喫煙者と非喫煙者とが相容れないのも無理ないなあ」と、ガックリきました。

 そして何と言っても本書最大の魅力は、受動喫煙に悩む人の声がたっぷりと掲載されていることです。

職場で(喫煙室などで)吸って帰ってきた人が、近くに来てリラックスした顔で臭いを発すると腹が立ちます。

隣の人や後ろの席の人がタバコを吸って戻ってくると、その呼気だけで身体に反応が出ました。化学物質過敏症にもなったようです。

打ち合わせで飲食店へ行くときはきついです。とくに地方などへ行くと全然禁煙の店が探せないんです。受動喫煙症の診断をとったので、なるべく懇親会などには出ないようにはしていますが、なかなか避けにくいのが現実です。

駅でタバコを注意して刺された人や殴られた人がいますし、バス停でお母さんと子どもが殴られたニュースがありましたね。私は子どもといることが多いので、それはできないからいつも煙から逃げています。自転車のときはすぐに逃げますし、自動車のときは前野車が窓を開けて喫煙していたらすぐに窓を閉め切ります。

身体症状が出るようになってから、仲のよい幼なじみ(喫煙者)と会いづらくなりました。


 これは本書に載っている声の、ごく一部。
 他にも、自宅にタバコの臭いや煙が入ってきて困っている人や、親せきづきあいを辛く感じている人など、様々な声が聞かれます。

 受動喫煙は、喫煙者・非喫煙者含め、心も身体も確実にむしばんでいくのです。

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 こう書くと、ものすごく喫煙者を糾弾する内容に思えるかもしれませんが、本書自体は非常にフラット。
 喫煙者の立場もかんがみながら、より良い社会にしていくにはどうすれば良いかを、真摯に述べた内容となっています。

 受動喫煙防止に向けて、確実に一歩を踏み出した昨今。
 「今読まずにいつ読む!?」と言いたくなる、現代社会の必読書です。

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アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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