人間関係のストレスを根こそぎ解決!「他人」の壁 養老孟司・名越康文

評価:★★★★★

 だって、人は基本的にそんなにおかしなことはしないですから。隣にいる友達が突然、「これから誰か殺しに行く」と言って、包丁持って出かけたりしませんからね。やることの大体はわかっているわけですから。別にわからなくても、日常の中でことは進んでいきますから。
(本文引用)
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 人間関係のお悩みなどを読んでいると、悩みの根源はたいてい「これ」です。

 「相手が私をわかってくれない」。

 なかには、「んなもん、わかるわけないでしょ!」と言いたくなるぐらい「察してちゃん」だったり、相談者が常識外れだったりします。

 でも誰でも、つい「どうして私の気持ちをわかってくれないのか」とか「この前も言ったのに、もう忘れてる」とか思っちゃうことありますよね。

 あまりにもわかってもらえないと「私のことを馬鹿にしてるのかな?」なんて勘ぐってしまい、心が疲弊することも。

 そんな思いがフツフツとわいてきたら、ぜひこの本を。

 たとえ家族でも、他人とわかりあえるはずなどない。



 本書はこれを大前提として話を進めていくのですが、そう考えるとものすごーく気持ちが楽になりませんか?

 ハラスメントや迷惑行為など実害があれば別ですが、ただ「わかってくれない、(´Д`)ハァ…」というストレスなら、この本で9割方解消できますよ。
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 本書は、解剖学者・養老孟司さんと精神科医・名越康文さんの対談です。
 「他人の壁」とあるように、本書は自分と他人との壁について語る本。

 そう聞くと、他人との壁を取っ払い、わかり合うための本のように見えますが、実はその逆。

 いきなりこんなカウンターパンチを放ちます。

養老 僕に言わせると、なんでわからなきゃいけないのかという話なんですけどね。


自分はこっち行くけど、あなたはあっちへ行く。そういうことでまったく問題ないし、人ってそういうものだと思いますけどね。


 要するに、他人とわかり合おう、他人に自分のことをわかってもらおうなんてナンセンス。
 そんな無茶なことを期待するから、余計なストレスがたまるんだよって話です。

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 名越先生も精神科医の立場から、患者の家族が、患者をわかろうとすると事態が深刻になると分析します。

 私が見ている風景を、目の前にいる相手は絶対に見ることができず、相手が見ている風景を、目の前にいる私は決して見ることができない。

 それと同じで、複数の人間同士がピッタリわかり合えることなどそもそもあり得ない。

 あり得ないことを期待するから、悩むようになる。

 養老氏と名越氏の口からは、そんな真理がカラッと語られます。

 なので、もともとの環境が違う方が却ってわかり合えるとのこと。
 わかり合えるというか、つき合ううえでのストレスはグッと減るんですね。

 たとえば外国人と話すと、言葉の壁はあるかもしれませんが、「わかり合えない」というストレスはあまり生じません。
 そもそも生まれ育った環境から何から何まで異なるので、「わかり合う」ことを期待しない。
 だから却って、良好な関係を築ける場合があるのです。

 他人とわかり合う必要などないし、そもそも無理。
 そう言い切ると、なかには「寂しい」「世知辛い」と感じる方もいるかもしれません。

 でもこの考え方は、実はいちばん他人を尊重する思考法。

 他人の存在を肯定し尊重する気持ちがあれば、「私のことをわかってくれない」などという発想にはならないはず。

 自分の存在を肯定、尊重し、他人をも尊重する。

 「他人と分かり合えるはずなどない」と思う気持ちは、決して冷酷なものではなく、他人も自分も認める愛あふれる発想なんです。

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 本書ではさらに、「人生」という自分の作品作りに打ち込むようアドバイス。

養老 他人をわかろうとか、わかりたいとかいう話をする前に、ここらで考え方を一度大きく変えてみて、いうならば「人生作品」とでもいう考え方に、向き合ってみる必要があると思っています。まずは自分が今、この時代に生きていて、その自分の人生を作品として完成するにはどうしたらいいか、どんな絵を描き上げればいいのか、それを模索できるようになれば、生きていく意味が大きく変わりますし、何より何倍も人生がおもしろくなる。


 そう、他人と無理やりわかり合おうとするのは、「自分の人生」という唯一無二の作品を壊してしまうこと。

 度が過ぎると、他人の人生まで壊してしまいます。

 他人とわかり合おうとする気持ちは、凶器になる場合もあるんです。

 現在、「私の気持ちをわかってくれない」という悩みをお持ちなら、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

 養老先生と名越先生の丁々発止の対談を読むうちに、どんどん心が軽くなっていきますよ。

 そして自分の人生をつくることに、無上の愉しみを見出すことができるでしょう。
  
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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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