柚月裕子新刊「盤上の向日葵」レビュー。将棋ファンでもそうでなくても文句なしに楽しめる!

評価:★★★★★

「俺はお前にはじめて会ったときからわかってたんだ。お前は将棋を指してねえと死んじまうやつだ、ってな」
(本文引用)
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 出ました!柚月裕子最新刊「盤上の向日葵」。
 将棋とボクシングに関する本は、フィクション・ノンフィクション問わず面白いと確信していますが、それに加えて著者は柚月裕子。

 「読んで良かった~」と思える一冊であることは、扉を開く前からわかっています(だからすぐに買いました)。

 今、読み終り「やはり期待は裏切られなかった!」と思わずガッツポーズ。
 小さな点と点が少しずつ少しずつつながっていくところは、松本清張の名作を思わせる技巧ぶりです。

 数百万円はくだらない将棋の駒をめぐり、二人の刑事が日本中を駆け回り、最終的に降り立った先は・・・?



 設定が、現代の将棋ブームと重なるものがありますが、将棋を知らない方でも存分に楽しめる一冊。

 正統派ミステリーですが、最後の1秒まで先が読めない展開は将棋の大勝負も顔負けです。
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■「盤上の向日葵」あらすじ



 ある日、埼玉県の山中で男性の白骨死体が見つかります。

 白骨化しているだけに、身元の判明は難航。
 唯一の手掛かりといえば、死体と共に埋められていた将棋の駒です。

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 その駒は非常に高級な駒で、600万円ほどの価値があるとか。

 なぜそれほど価値のある駒が、死体とともに山中に埋められていたのか。

 調べを進めるうちに、駒は人から人へ転々と渡っていたことが判明。

 最高級の将棋の駒から見えてきた、事件の全貌とは?
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■「盤上の向日葵」感想



 この物語は刑事コロンボ風で、最初から真犯人をかなり思いっ切り明かしています。
 なので、犯人探しをするミステリーではありません。

 どうやって犯人につながっていくのか、どうしてそんな事件が起きてしまったのかを追っていくミステリーです。

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 よって、謎解き好きな人には物足りないかもしれません。

 でも人情もののミステリーが好きな方は、どっぷり浸かれること間違いなし。

 吹けば飛ぶような将棋の駒に、どれほどの希望と絶望と喜びと悲しみが詰まっているか。

 将棋の駒から見える犯人の流転の運命は、人間とは、人生とは何かを考えさせてくれます。

 将棋について書かれた本は、「聖の青春」「将棋の子」「泣き虫しょったんの奇跡」など人生全てを賭ける、非常に読み応えのあるものが多いです。

 勝負ごとは何でもそうかもしれませんが、特に将棋には人生劇場が詰まっているのかもしれません。

 それにしても圧巻なのは、柚月裕子さんの人間描写!
 性格は小難しいが捜査の腕は超一流の刑事、その刑事の相手をするのに疲れながらも、絶妙なコンビネーションで着実に解決に近づいていく相棒刑事。

 二人の刑事の性格や、事件解決に向けた手練手管が目をむくほど細かく描かれており、捜査の様子を読むだけでもお腹いっぱい楽しめます。

 柚月裕子作品の中身の濃さは、情景や人間描写の恐るべき緻密さにあるんですね。

 改めて、柚月裕子という作家の圧倒的な力量に脱帽しました。

 最高級の将棋の駒が、なぜ白骨死体と共に埋められていたのか。
 犯人はいったいどんな思いで駒を埋めたのか。

 点が次第に線になっていくドキドキ感を味わいながらも、人間というものの奥深さ、難しさに吸い寄せられる一冊ですよ。
  
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アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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