阿部サダヲ主演で映画化!「彼女がその名を知らない鳥たち」沼田まほかる

評価:★★★★★

  「楽しかったなあ、十和子。ほんまに楽しかった。この生活いつ壊れてしまうんか思うさかい、いろいろなことあってもあんだけ楽しかったんや」
(本文引用)
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 私の中にある「ミステリー」という概念を、グワァッとそっくり変えてくれた一冊。
 帯に「最低な大人たちによる、最高に美しい恋愛ミステリー」とありますが、後半まで「これってミステリーなの?」との疑問はぬぐえませんでした。

 でも終盤になり、「これ以上のミステリーはない」と納得!

 さらに「最低な大人たちによる、最高に美しい恋愛」というコピーにも大いにうなずきました。
 もう本当に、惚れ惚れするほどどうしようもない人たちの集まりなのですが、そこから出てきた真実は、クズではなくダイヤモンド。



 かなり描写がえぐいので、読むのがキツいと感じる人もいるかもしれませんが、ぜ最後まで読んでみてください。
 「最低」が「最高」に裏返った瞬間、「読んで良かった」と思えますよ。
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「彼女がその名を知らない鳥たち」あらすじ



 主人公の十和子は、陣治という男性と暮らしています。
 
 陣治は地位も教養もなく、とにかく下品。
 手先が極端に不器用で、すぐに物を壊したり汚したりしてしまいます。
 周囲からも「なんでこんな男といるの?」という目で見られる日々です。

 十和子は8年前、黒崎という男にひどい捨てられ方をします。
 その傷が癒えないまま、十和子は仕方なく陣治と暮らし、心の中で陣治を罵倒しつづけています。

 十和子は陣治や他の男性と愛し合うなか、黒崎のことがどうしても忘れられずにいますが、徐々に黒崎の意外な事実が判明。

 そしてついに刑事が十和子のもとに・・・。
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「彼女がその名を知らない鳥たち」感想



 ひたすら「絶望、絶望、絶望」の連続で、ここまで読ませることに驚かされます。

 本当に、一言でいうと「クズ」ばかりが登場する小説で、読んでいるだけで人間不信になりそう。

 なかには、読むのがキツイという人もいるかと思いますが、私はグイグイ引き込まれてしまいました。

 ここまで倫理観が欠如した人間ばかりで、どうやって物語が終結するのか・・・それを何としてでも見届けたくて、ラストまで一気に読みました。

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 で、結論としては「最後まで読んで、本当に良かった」です。

 前述しましたが、ラストで「クズ」から「ダイヤモンド」がコロンと飛び出します。
 十和子、陣治、黒崎、十和子の義兄など、皆ちょっと(いやだいぶ)おかしいのですが、実はこの中に一人、真実をきちんと見極める人物がいます。

 その人物の思いが一気に噴き出したときに、ズラリと並んだ「絶望」のカードが一気に「希望」のカードに変身。
 まさかまさかの展開に、驚くと同時に、思わずニヤリとしてしまいますよ。

 それにしても、この小説を映画化しようと言い出した方は素晴らしいですね。
 映像化したら、よりミステリー色、どんでん返し色が強くなって、非常に面白いと思います。
 映画を観たい方は、なるべく早いうちに観て、ネタバレされないように注意が必要です。

 ミステリ―らしくないんだけど、これほどミステリーらしい小説もない。
 「彼女がその名を知らない鳥たち」は、そんな「ミステリーの概念を変える」一冊です。


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アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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