タイムスリップもので最高に泣けた一冊!「デイ・トリッパー」梶尾真治

評価:★★★★★

 「起こってはいけないことは絶対に起こらない。目的を達成しようとしても“時間の意志”が阻止してしまうのですよ。勝手にね」
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で高評価だったので購入。

 いや~、面白かった!そして泣いた!
 これは「夏への扉」みたいに、後世に残るSF小説になるのではないでしょうか。

 表紙だけ見るとラノベっぽいのですが、非常に知的で情感もいっぱい。
 「デイ・トリッパー」は、SFと純愛が見事に融合した成功例ですね。
 筒井康隆さんの「時をかける少女」を初めて読んだ時のようなときめきを、久しぶりに思い出しました。



 「デイ・トリッパー」の魅力は、タイムスリップの盲点をついた「ある視点」が加えられていること。
 ラストでその「ある視点」を知った瞬間、「そう来たか!」と膝を打つと同時に涙がジンワリとあふれてきますよ。
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「デイ・トリッパー」あらすじ



 主人公の香菜子は、結婚して3年余で夫を亡くします。
 夫の大介は突然、原因不明の病に倒れ、あっという間に死んでしまったのです。

 香菜子は悲しみに打ちひしがれますが、ある日、ひとりの女性に声をかけられます。
 女性は香菜子に、こう言います。

「香菜子さん。もう一度、ご主人に会う方法があるのですが」



 女性の話によると、過去の肉体に、現在の自分の心を送り込むことができるとのこと。

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 香菜子は、歴史を変えないという約束のもと「過去の自分の肉体」に「現在の自分の心」を送り込み、元気だった頃の大介と再会します。

 再び大介に会った香菜子は、大介との時間を大切に大切にします。

 大介が愛おしくてたまらない香菜子は、約束を破る誘惑にかられます。

 香菜子の行動は、果たして歴史を変えてしまうのでしょうか?

 香菜子と大介の運命やいかに!?
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「デイ・トリッパー」感想



 「デイ・トリッパー」は立派なSF小説ですが、そんなことを完全に忘れてしまうぐらい純愛モードムンムン!
とにかく胸がキューンとします。

 でもSFの要素が全く疎かになっておらず、理系ムードもムンムン。

 冒頭でも書きましたが、恋愛とSFがここまでガッツリと融合できることに、ただただ驚きました。

 大介を思う香菜子の純粋さや苦悩、大介の誠実さ(こんな男性なら香菜子にここまで愛されるのは当然!)、そして香菜子を見守る科学者たちの優しさや、香菜子に「迷い」を生じさせる老女の悲しみ・・・登場人物の心が1つひとつ非常に丁寧に描かれているので、心が打たれます。

 それだけに、「デイ・トリッパー」は本当に幸せをもたらしてくれるのかが、最後の最後まで気になります。
 人物描写にふくらみがあるので、「みんなが幸せになれますように!」と思わず祈ってしまうんですよね。

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 科学は人をどこまで幸せにできるのか、科学で人の心や歴史を変えることはできるのか・・・「デイ・トリッパー」はその命題を、ある意味残酷なまでに突き付けてきます。

 だから、私は自信を持ってこう言います。
 「デイ・トリッパー」はSF小説の名作だ、と。

 一見、何でも解決できてしまいそうなタイムトリップ。
 タイムトリップにはどんな限界があり、どんな可能性があるのか。

 ぜひ香菜子を自分に、大介を愛する人に置き換えて、タイムトリップの限界と可能性について考えてみてください。

 そしてそのうえで、今後の人生も大介と共に歩みたければどんな手があるか。
 ラストでその「奥の手」を知った瞬間、心がパァァッと晴れやかになり、涙がポロポロと出てきちゃいますよ。

※ドラマ化希望!というわけで勝手にキャスティング

香菜子:吉岡里帆
大介:福士蒼汰
芙美:小松菜奈
機敷野:近藤正臣


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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
仕事・家事・育児の合間に文字を楽しむ、兼業主婦の備忘録です。
本の評価は以下のとおり(2015年10月~)
★★★★★=読むと一生幸せでいられます。
★★★★☆=読むと1年間幸せでいられます。
★★★☆☆=読むと1週間幸せでいられます。
★★☆☆☆=これ以下の本は載せません。

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