泣ける小説をお探しの方に。重松清「きみの友だち」。やはり友だちは「作るもの」ではなく「なるもの」と納得。

評価:★★★★★

 「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」
(本文引用)
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 最近「友だち幻想」という新書が売れています。

 「みんな」と一緒じゃなくてはいけない、「みんな」と合わせなくてはいけない、いつも一緒にいる「友だち」がいなくてはいけない・・・そんな同調圧力があると、毎日息苦しいですよね。
 
 それは学生さんだけでなく、「ママ友」といったつながりでも同じ。
 焦って「ママ友」を作ろうとしたところ、全く価値観が合わずに疲労困憊という人も少なくありません。

 もし今、「友だちがいなくて寂しい」とか「友だちを作らなくては」と思っていたら、ぜひこの小説を読んでみてください。

 友だちとは「作る」ものではなく「なる」もの。
 そして、たとえ友だちらしき人がいなくても、それは決しておかしいことでも否定されるようなことでもない。

 「きみの友だち」を読むと、心からそう思え、胸を張って生きることができますよ。

 そうそう、本書は「泣ける小説」をお探しの方にもおすすめ。

 後半からラストにかけて、私は涙と鼻水で顔がグシャグシャになりました。
 「とにかく本を読んで泣きたい!」という方もぜひ!





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 主人公の恵美は、小学生の頃に交通事故に遭い、以来ずっと松葉杖をついて歩いています。
 実は事故の原因は、同級生たちが無理やり恵美の傘に入ってきたから。

 恵美はそれを恨みに思い、入院中に同級生たちに怒りをぶつけたところ、その後恵美はクラスでつまはじきにされることに。

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 ひとりになった恵美は、同じくいつもひとりでいる由香と過ごすようになります。

 由香は先天性の持病により学校を休みがちで、クラスにもなじめずにいます。

 もはや「友だち」や「みんな」というものを信じられなくなった恵美と、その恵美を信じようとする由香。

 果たしてこの二人は「友だち」になることができるのでしょうか?
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 本書は10編からなる連作長編。
 恵美と由香をめぐる様々な登場人物が、主人公になって登場します。

 たとえば恵美と由香がクラスから孤立するきっかけを作ってしまった堀田ちゃん。

 ひょうきんな堀田ちゃんはクラスの人気者ですが、実は常に仲間外れにならないようビクビクしています。
 クラスの勢力地図をこっそり持ち歩き、強い人や勢力のあるグループにつくよう腐心し学校生活を渡り歩きますが、それが仇になることに・・・。

 そんな堀田ちゃんと恵美、由香とのからみもまた、「友だち」の定義を考えさせられるものです。

 友だちとは「作る」ものなのか、「なる」ものなのか。
 そして真の友情が生まれる時とは、互いにどんな感情が芽生えた時なのか。

 堀田ちゃんと恵美、由香3人のやりとりは「いちばん長続きする友だち」のモデルケースとなるもので、ある意味「理想」といえるかもしれません。

 こう書くと、本書には女の子の友情しか書かれていないように見えますが、男の友情もしっかりフォロー。

 恵美の弟の友情物語は、また女子とは違う複雑さがあり面白い!
 「男のプライド」というものを強く感じさせるストーリーで、「男の子はこうして、男になっていく」なんて言葉が浮かびました。

 そしてラストで、まさに「友だち」の真の意味がわかってきます。 

「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」

 物語序盤で恵美が言った言葉は文字通りとなり、それはやはり辛いことです。

 でも「一緒にいなくても寂しくない相手が友だち」。

 そう思える人が一生の間に一人でもいるということは、途轍もなく幸せなことなんですね。

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 もし現在、「一緒にいる友だちがいない」と寂しさを感じていたり、「友だちだから一緒にいなくてはならない」というプレッシャーを感じていたりしたら、この「きみの友だち」を手に取ってみてください。

 ちなみにラストで、「きみの友だち」と語り掛ける人物の正体がわかります。

 その種が明かされた瞬間、またまた涙がドッとあふれてしまうことでしょう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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