とびきり心温まる小説「ツバキ文具店」感想。これを読めば、お悔やみ・絶縁・天国からの手紙まで書けます。

評価:★★★★★

  「私は、確かに代書屋です。頼まれれば、なんだって書く仕事をしてますよ。でも、それは困っている人を助けるためです。その人が、幸せになってほしいからです。でもあなたは、ただ甘えているだけじゃないですか」
(本文引用)
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 現在、多部未華子さん主演でドラマ放送中の「ツバキ文具店」。
 本屋大賞にもノミネートされ、今、「心温まる小説」No.1とも言われています。

 そして実際に読んでみると、これが心が温まるなんてもんじゃない!

 「ツバキ文具店」を読むと心が温まるだけでなく、人生がとてつもなくキラキラと輝いて見えてきます。
 いえ、人生だけでなく、自分が死んだ後の世界まで生き生きと見えてくるんだから、すごい。
 「ツバキ文具店」を読み、改めて、後々まで文字として残る「小説」というものの力を感じました。



 「ツバキ文具店」のドラマをご覧の方は、ぜひ小説もお手に取ってみてください。
 文章でしか味わえない、文字でしか伝わらないものが、この本には間違いなくあります。

 では、「ツバキ文具店」のあらすじと感想を書いていきますね。
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 ツバキ文具店は、鎌倉に店を構える文房具店。
 現在、雨宮鳩子という若い女性が切り盛りしています。

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 ツバキ文具店の特徴は文房具を売るだけでなく、代書も引き受けていること。
 これは江戸時代、雨宮家がお城の右筆を勤めていたため、代々引き継がれている仕事です。

 そのため鳩子は幼少期から、祖母に文字の書き方を叩きこまれます。
 そんな生活に嫌気がさし、鳩子は一時期非行に走りますが、今ではすっかり落ち着き、立派な代書を務めることに。

 先代から教え込まれた「美しい文字」と「手紙の作法」を駆使して、様々な手紙の代筆をします。

 持ち込まれる依頼も実にさまざま。
 恋文やお見舞い状はもちろんのこと、絶縁状やペットの死亡報告、お金の無心を断る手紙まで、鳩子はたくみに書きあげます。

 そんな手紙の達人・鳩子が、最後に手にした手紙とは・・・?
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 まず「ツバキ文具店」を読むと、無性に手紙が書きたくなります。

 メールではなく、あくまで「手紙」です。

 たとえかな釘流でもいいから、自分の手で文字を綴って、大切な人に手紙を書きたくてたまらなくなります。
 手紙が、こんなに素敵なコミュニケーションツールだとは!

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 実はこの本には、実際に鳩子が書いた手書きの手紙が掲載されています。
 それも通り一遍ではなく、依頼主や手紙の内容に合わせて、文字や文体が巧みに変えられた見事なもの!
 この手紙の数々が、本当に読んでいて楽しいですし、癒されます。

 「お悔やみの手紙をこんな風に書けば、悲しみが少しでもやわらぎそう」
 「今度入院する友だちに、こんなカードを添えたら素敵だな・・・」

 鳩子の臨機応変ぶりと情の深さから編み出される手紙は、実生活でも役に立ちそうなものばかり。

 便箋や封筒、切手の選び方まで細かく描かれているのもポイント。
 読んでいるだけで、オシャレな文房具店か雑貨屋さんにショッピングに来ている気分になれます。

 なかでも夢中になって読んでしまったのが、離婚報告の手紙を書くエピソード。

 ある男性は、15年間連れ添った妻と離婚をすることになります。
 そこでこのたび、結婚式に来てくれた方々に、その報告の手紙を出すことに。
 その手紙の代書を鳩子に依頼します。

 男性の妻は、すでに家を出て、新しい伴侶とともに新生活を始めたとのこと。
 離婚の原因は明らかに妻の不貞にありますが、男性は決して妻を悪く言うことなく、静謐な態度で鳩子に代書を頼みます。

 鳩子はその希望をまっすぐに受け止め、文面はもちろん便箋、封筒、そして封をするシーリングワックスまで細かく細かく配慮し、離婚報告の手紙を書き投函するのです。



 「ツバキ文具店」には、多種多様な温かい手紙が登場しますが、私はこの「離婚報告」の手紙がいちばん好きです(私が離婚をしたいからではありませんよ、念のため)。

 相手をいくら責めてもおかしくない事情なのに、自分の幸せを祈る以上に相手の幸せを祈り、そして手紙を送った相手の気持ちをも思いやる。

 ネガティブだらけの状況のなかで、これほどまでに晴れやかな気持ちにさせる手紙が書けるものなのかと、ただただ感心、感動しました。

 文字の力って、文章の力って偉大ですね。

 依頼人と鳩子、そして「小説家・小川糸さん」の人間力に心から脱帽です。

 最後に、本書を読み終えてもすぐにはページを閉じないで!

 幻冬舎さんからの粋な一言が、物語終了後に添えられています。

 小説「ツバキ文具店」で、文字と文章がどれほど人を強く優しく明るくするかを、ぜひご堪能ください。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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