「目利きが選ぶ今週の3冊」で紹介!「神さまたちのいた街で」早見和真

評価:★★★★☆

 <――世界中の神さまたちに告ぐ。クソ食らえ!>
(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で興味をひかれ、読んでみました。

 表紙やタイトルのイメージとは異なり、かなり深い闇を感じさせる物語でした。
 
 人間は、目に見えているものがちょっとでも不愉快だと、見えていないものに簡単に支配されてしまうんだな・・・。

 そんな恐怖が、体の芯からゾワゾワと這い上がって来るような物語でした。

 でもその分、見えているものから目を逸らさない勇気のある人は、多少遠回りになっても確実に幸せを得られる。そんなことも知ることができました。



 かなりダークな気分にもなりますが、影は光があるからこそできるもの。

 主人公たちの大きな苦しみの反対側には、どんな光が燦々と輝いているのか。
 読みながら、その光源に出会うたびに涙がポロポロ。

 同時に、自分の周りにある光源=「幸せのもと」にも気づくことができますよ。
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 主人公の馬上征人は小学5年生。学区内の高級住宅街に住んでいます。
 しかしある日、父親が交通事故を起こし生活が一変。

 父親はケガがもとで働かなくなり、それが原因で母親とも不和になります。

 そのうち、父親は征人をつれて「勉強会」という集まりに連れていくように。

 それは怪しい宗教団体で、父親はどんどんその団体の活動に入れ込むようになっていきます。

 征人は母親に知られないように、その団体の勉強会にしぶしぶ出席しますが、次第に母親の様子までおかしくなり・・・?
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 家族小説は、しばしば子どもが大人の犠牲になります。
 子どもには、他に行く場所がないことがわかっていて、大人は平気で「出ていけ」などと言います。

 この小説は、そんな大人のずるさを全くごまかすことなく描いています。

 だから、読んでいてキツイです。
 子どもをもつ身としては、途中で読むのを投げ出したくなるほどキツイです。

 でも、この物語から目をそらしてしまうと、征人の両親のように「目に見えないもの」にだまされ、支配されてしまう――そんな思いで、何とか読み切りました。

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 愛や友情も、ある意味「目に見えないもの」です。

 でも、目に見えるものをじっくりと見つめたうえで、目に見えないものを見つめることと、
 目に見えるものから逃げて、目に見えないものに頼ろうとすることとは、

 雲泥の差なんですね。

 さて、自分は生きているかぎり、どこまで「目に見えるもの」をしっかりと見つめて生きていけるか。
 本当に信じるべきものを見失わずに、長い人生を歩き続けることができるか。

 征人や、彼の親友たちと勝負をするつもりで、足下にある地面を踏みしめていきたいと思います。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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