「仁義なき宅配」アマゾン対ヤマトの行方は?佐川がアマゾンを切った理由とは?

評価:★★★★★

 「結局、得したのは荷主ばかりで、宅配業者はその分、経営の体力が奪われていきました」
(本文引用)
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 今、世間の話題をさらっている出来事。
 その双璧は森友学園と宅配業界でしょう。

 楡周平の「ドッグファイト」は、大手ネット通販と宅配業者との攻防が色濃く描かれていて、とっても面白かったです(オススメ!)。

 現在報道されている大手ネット通販と宅配業者との関係も、「ドッグファイト」のように爽やかなラストを迎えると良いのですが・・・この本を読む限り、かなり難しいのかな?
 
 連日報道されている宅配業界の競争や、ドライバーの労働問題。
 本書「仁義なき宅配」は、著者自らが実際に職場に潜入し、その実態を追った渾身のルポ。



 ちなみに著者・横田増生氏は、かつてユニクロに潜入し話題となったジャーナリスト。

 ドライバーの車に同乗し、怒鳴られながら荷物を仕分けた体当たり潜入ルポをご覧あれ!
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 本書は著者・横田増生氏の「横乗り」から始まります。

 それは宅配便の下請け業者の軽トラなのですが、そのレポートにはただただ圧倒。
 
 効率よく荷物を届けることに腐心し、宅配ボックスを奪い合い、午前中不在だった世帯による再配達する。
 そうして拘束される時間は、ざっと14時間。
 
 実際に荷物を届けられないとお金にならず、車両代や保険代などを引かれると、結局給与はファストフードのアルバイト並に。

 著者はそんなドライバーの方と共に行動するのですが、ある日、その方の体に異変が。

 この過酷な実態を読むと、もう外出ができなくなります。不在・再配達なんてとんでもない。もう宅配そのものを頼むのが申し訳なく思えてきます。
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 もちろんドライバーだけでなく仕分けも超過酷。

 その実情を目の当たりにして、著者はこう訴えます。

これだけ大量の荷物が流れてくる中で、自分の荷物を特に大切に扱ってほしいというのなら、「その分の料金を上乗せして払え」というのが作業員である私の正直な気持ちであった。


 実はこれ、時々見かける「あるメッセージ」に対する主張です。

 私は化粧品などをよくネット通販で買うので、これが書かれたシールをよく見るのですが、確かにその通り!と納得(そういえばパソコン周辺機器をよく買う夫の荷物にも、これが書かれているなあ)。

 今まで「こんなことを書いてくださるとは、何て素敵な会社なのかしら。ウフ」なんて、荷主の会社に対して好印象を持っていたのですが、本書を読んだら逆になっちゃいましたね。

 それどころか「これから私が自転車で直接取りに伺いましょうか?」と、荷主の会社に聞きたくなりました。

 皆さんも必ず一度は目にしているメッセージだと思いますが、本書を読み、それが貼られている実態に思いを馳せてみると認識が変わりますよ。

 宅配荷物がないと宅配業者は困ってしまう。

 でも、「理不尽な」荷物が増えれば増えるほど宅配業者は生き血を吸い取られていく。

 やはりこれは、荷物を頼んだり届けてもらったりする私たちが、何らかの手立てをとらないといけないのでしょうね。

 素晴らしいサービスには、それ相応の対価を払うべき。

 私はそんな当たり前のことを、宅配業者さんに対しては忘れてしまっていたようです。

 それを思い出させてくれた、血と汗と涙のルポ「仁義なき宅配」。

 タイトルから想像できる以上に、血反吐のにおう漂う魂の一冊です。

 そうそう、佐賀急便急成長の裏話なども読み応えあり。
 今すぐ誰かに話したくなるネタが満載ですよ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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