中学校の卒業生は読むべき!薬丸岳「ガーディアン」

評価:★★★★☆

 先生に自分は救えない。
(本文引用)
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 卒業式シーズンに読みたい一冊。
 しかし、他の青春小説とはちょっと・・・いや、かなり違う。
 
 読んでいる間は、まさかこれほど卒業式が似合う小説とは全く思っていなかった。
 だってひたすら重苦しく、ただただ学校なんて信じられなくなる物語なのだから。

 学校に潜む謎の自警団が、悪行をした生徒を成敗する姿を描く「ガーディアン」。
 一見、正義の味方が暗躍する物語に見えるかもしれないが、そこには大きな罠があった。

 それは、ある生徒のこの言葉が表している。

「ガーディアンはたしかにいじめをなくせるかもしれないけど、代わりにおれたちみんなをひとりぼっちにするんだ」





●あらすじ



 秋葉は中学校の英語教師。今の中学には赴任してきたばかりである。
 
 秋葉はその中学に違和感を覚える。それは、学校に不良がいないこと。生徒たちが皆、品行方正すぎるのだ。

 そしてこの中学には長期欠席する生徒が目立つ。たいていは1~2週間だが、なかには数ヶ月不登校の生徒もいる。
 長期欠席の理由は、いずれもひとつ。

 ガーディアンによる制裁だ。


●「ガーディアン」のここが面白い!


 机やロッカーに、ある目印が置かれると一斉にハブられる。
 その構図はどこか、漫画「花より団子」のF4による制裁を思わせる。

 しかしこのガーディアンによる制裁は、もっと厳しい。
 生徒だけでなく先生も標的となり、しかも制裁理由がもっともらしい。

 その「もっともらしさ」が、自警団ガーディアンを野放図にさせ、ますます問題をややこしくする。
 そのややこしさをどこで、どのように食い止めるかがこの小説の見どころだ。

 ガーディアンは一応、生徒の悪事を成敗するために結成されたものだ。
 しかし、その存在が暴かれようとすると、手段を選ばず無実の者を制裁する。

 その正義と悪の表裏一体感が、この物語の面白さ。
 どんな善行も、保身に走れば途轍もない悪行に変身する。
 それも、善行を施している本人が気づかぬうちに深刻になっている。

 この物語は、人間の独りよがりは思わぬ悲劇を招くということを色濃く描いている。



●まとめ


 「ガーディアン」ほど「皮肉」という言葉が似あう小説もなかなかない。
 「ガーディアン」ほど「爽やか」という言葉が似合わない小説も、なかなかないだろう。

 そんな何とも救いのない物語に見えたが、終盤では思わず涙がポロリ。
 まさかこんなに爽やかな着地が用意されているとは思わなかった。

 そして、着地した足が少し乱れたような余韻もナイス。
 今後の「ガーディアン」の動きを、ぜひ追ってみたいものだ。

 卒業式シーズンにぴったりの小説「ガーディアン」。
 中学校の卒業生は、ぜひ読んでみてほしい。

 自分は何を間違っていて、何なら信じることができたのか。
 そんな対話を、自分の胸の内で行なうことができるだろう。


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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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