「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」(キャスリーン・フリン)は、本当に人生を変える力がある魔法の一冊!

評価:★★★★★

 「自分が本当にやるべきことに、自信が持てなかったのね。落ちたら拾えばいいわ」
(本文引用)
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  米国ASJA(American Society of Journalists and Authors)でベスト・ノンフィクション賞を受賞した本。
 頭の先から足の爪先のすみずみまでスカーッ!!とする、とびきり痛快な一冊だ。本書を読み終えた時、空がどれほど青く澄んで見えたことか。

 包丁も持てなかった女性たちが、鶏を丸ごと使ってローストチキンを作れるようになる。
 何十ドルも払って買っていたドレッシングを、家にある調味料だけで見事に作れるようになる。
 大量に捨てていた食材で、スープを一品作れるようになる。

 その過程を追った「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」は、女性にかぎらず料理にかぎらず人生を変える力を持った、まさに奇跡の一冊だ。






●概要


 著者キャスリーン・フリンは、37歳でル・コルドン・ブルーを卒業した、遅咲きの料理家だ。
 彼女はある日、スーパーマーケットで一人の女性を追う。
 その女性は、出来合いのパイやテレビディナーなどをカートに次々と投げ込んでいた。

 それを見たキャスリーンは、彼女にそっとささやく。 

「丸鶏はセールだったけどね」


しかし彼女はこう返す。 

「ああ、ありがと。でも、鶏を丸ごとなんてどうやって料理したらいいかわかんないわよ」


 しかしキャスリーンの話を聞くうちに、女性の顔色はどんどん変わっていく。 

「それじゃあたし、いままで倍の値段を払って鶏肉を買ってたってわけ? ちょっと、ちょっと!」


 それが、奇跡の料理教室の始まりだった。



●「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」のここが面白い!


 タイトルだけ見ると、「女だけが料理をするなんておかしい」とか「料理ができない=ダメ女なんて偏見」などと思うかもしれない。

 しかし、本書はそんな薄っぺらいものではない。人生をうんと豊かにする、うんとシンプルな方法を全力で教えてくれているのだ。

 まず、彼女たちが食事を作ることができない理由が、人生そのものを考えさせるものだ。
 彼女たちの共通点は、自分の価値を自分で決められないことだ。

 それは生まれ育った環境であったり、現在の家庭に問題があったりと様々だ。
 
 彼女たちの多くは、過去に自分の価値を否定された経験を持っている。
 その時にできた心の傷が、「食」を通して再びうずいてしまうのだ。 

 「夫は、私が包丁を使う姿を見て笑う。料理をするたびに、全部メチャクチャになるから。それで自信をなくしちゃった」

 

 「料理って楽しいと思う。誰かが料理をしている姿を見ると、私もやってみようって思うんだ。でも、自分で料理してみると、すごく怖くなる。パニックを起こしてしまう」


 なかには、料理をしようとすると恐ろしく不安定になる精神分析医も。 

彼女は決まって「わからない。これって正しい?」と答える。

 そんな彼女たちが、料理を通してみるみる自信を取り戻していく様子が、本書の大いなる魅力だ。

 なかでもビネグレットドレッシングを完成させたエピソードなどは、感涙ものだ。

 ドレッシングのなかでも高価なビネグレットドレッシング。
 生徒たちは講師の指導のもと、オリーブオイルやバルサミコ酢、塩コショウを混ぜて淡々とドレッシング作りを進めていく。
 

「それで、次は?」彼女は楽しそうに言った。
「おめでとうございます。あなたはビネグレットドレッシングを作ったんですよ」と私は言った。彼女は自慢げに瓶を頭の上に掲げて見せた。まるでウィンブルドンでトロフィーを取ったかのようだった。

 包丁すらまともに持てなかった女性たちが、慎重に味見をしながら素材の味をしっかりととらえ、肉や魚を巧みに焼き、自分でドレッシングやソースを作り、パンやケーキを焼けるようになる。

 その作業は食事の選択肢を広げるだけでなく、自分の人生の選択肢も広げてくれる。
 まさにこの料理教室は、人生を変える奇跡の教室なのだ。

 だから、この料理教室では間違いも許される。
 

 焦がしても、落としても、煮過ぎても、生焼けでも、味気なくても、食事のしたくに失敗したって、それでもいいじゃない。たかが1回の食事なんだもの。明日になったらまた作ればいい。100年経てば誰も違いなんてわからないのだから。

 
 本書の題材は、あくまで料理だ。
 しかし、この本に書かれている奇跡は、料理に限らずどんなことにでも言える。

 失敗を恐れず、とりあえずやってみる。
 そしたら、人生はうんとシンプルに、楽に、豊かになる。そして、もっと自分が好きになる。

 そんなことを、この料理教室は教えてくれているのだ。 

 

●まとめ


 誰にでも、どうしても苦手なものがある。
 避けて通ってしまうものがある。

 それは、その「苦手なもの」を通して自分が否定された経験があったからではないだろうか。

 たとえば、子どもの頃に描いた絵を大人に笑われたせいで、絵を描くのが嫌いになった人もいるだろう。

 そんな告白をキャスリーンに話したら、彼女はきっとこう言うだろう。 

「誰ができないなんて言ったの?」

 そして、この料理教室に通った彼女たちは、こう言うだろう。 

「とりあえず、やってみなくちゃダメなんだよね」


 もし、何か苦手なものがあって悩んでいたり、自分に自信が持てなかったりしたら、ぜひこの本を手に取ってみてほしい。

 自分が怖れていたものが途端に小さく見え、今いる場所からポンッとジャンプすることができるだろう。

 そして気がつけば、最も苦手だったものが最も得意なものになっているかもしれない。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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