中野量太「湯を沸かすほどの熱い愛」は、日本アカデミー賞総なめも納得の名著!

評価:★★★★★

 絶対に絶対にお母ちゃんを一人ぼっちになんてしない。
(本文引用)
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 これほど「無償の愛」というものを感じたのは、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」を観て以来だ。

 自分に何の見返りがなくても、自分の命が削られることになっても、最愛の人のために行動を起こす。

 体が自然と動いてしまうような愛とは、ここまで人を強くし、幸せを振りまくものなのか。

 時おり弾かれるように泣きながら、そんなことに初めて気づいた。




●あらすじ


 中学生の安澄は、母親・双葉と二人暮らし。父親は女ができて、家を出た。
 それ以来、安澄は中学校でいじめを受けるようになる。

 しかし安澄は、母親に心配をかけたくないがために必死で学校に行く。

 一方の双葉は、安澄の苦しみを知りながらも、あえて強く生きるよう促す。
 実は双葉は、余命いくばくもない体だった。

 そしてついに、安澄の辛さと双葉の覚悟が頂点に達した瞬間、双葉はある行動に出る。




●「湯を沸かすほどの熱い愛」のここが面白い!


 「湯を沸かすほどの熱い愛」は、単なるハートフルストーリーではない。
 ちょっと意外なほどミステリー仕立てなのだ。

 たとえば、旅の途中で出会うヒッチハイク青年がそのひとつだ。一見、純朴そうに見えるが、実は裏がある。
 
 それを双葉が少しずつ暴いていくのだが、探偵さながらの双葉の観察力には恐れ入る。
 
 また、この物語自体が大仕掛けのミステリーとなっている。
 
 この小説にはストーリー全体をひっくり返すような真実が隠されており、それを知ってから読み直すとさらに味わい深くなる。いや、味わい深いどころではない。ところどころで泣いていたのが、泣きっぱなしになる。

 なぜならば、その事実がわかった瞬間、時々沸かすだけだと思っていたお湯が、実はずっと沸かしつづけていたお湯だったことを知るからだ。

 あっと驚くような展開で暴かれる、お湯を沸かすほどの熱い愛には、誰もが胸を焦がすことだろう。
 
  

●まとめ


 思いっきりハートウォーミングな内容でありながら、読者を欺いて楽しむようなミステリー性もある。

 それはかなり意外だったが、愛というものは、誰にも気づかれないからこそ「愛」なのだろう。
 何の見返りも求めず、ただただ誰かを思い、体が動いてしまう。
 「愛」に基づく行動というのは、動機が見えにくいが故に、自ずとミステリアスになってしまうのかもしれない。

 無償の強い愛情は、なかなか見えない。
 でも、見えやすい形にすると、きっとこんな感じ。

 「湯を沸かすほどの熱い愛」は、そんな「愛の形」をくっきりと見せてくれる。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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