「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」

先日、風邪で寝込んだときに、布団の中から書棚を見つめていたらフッとこの本が目に付いた。
いったいなぜ、この本を買ったのかわからないのだが、薄い新書のため「これなら途中で読むのをやめられるし、いいかも」と冷えピタをおでこに貼りながら読みはじめた。

うーん。困った・・・面白すぎて眠れない!やめられないではないか!

この本はタイトルそのまま、宇宙飛行士の選抜最終試験のドキュメンタリーである。
宇宙飛行士といえば、毛利衛さんとか、向井千秋さんとか、そして日本人初の国際宇宙ステーション船長に決まった若田光一さんとか・・・
とにかく、全員が全員、アメリカ横断ウルトラクイズで優勝できそうな知力も体力も超人級のスーパースターという感じがする。
そんな人たちを決める過程とは、果たしていったいどんなものなのか・・・。

読んでみると、宇宙飛行士を決める最大の要素とは、知力・体力も必須ではあるが何より「人間力」「人間的魅力」であるということに気づく。


最終選考に残った数名のみで数日間、カプセルのなかで日常生活を過ごす。
これが最後の試験だ。
閉ざされた空間のなかで、他の誰にも会わない日々。そのようなストレスフルな環境のなかで、いかにいつもと変わらない自分を保ち、他人を思いやり、笑顔でいられるか。
それが最も大切なことのようだ。

それにしても印象的だったのが、最終選考に残ったほどの人たちでも、意外なところで心を乱してしまうことである。
彼らはパイロットや医師など、あらゆる緊急時にも冷静沈着でいることに慣れている非常に有能な人たちだ。
そんな彼らでも、えっ!?こんなことで?と驚くような簡単なことを見逃したり、焦ったりして、大幅に減点されている。
(ちなみにこの「驚くようなこと」とは、何も理科系の知識を要するようなものではない。
もう本当に簡単な・・・小学校1年生でも「あれ?お前さ・・・」と指摘できるようなものである)

また、能力の高さが邪魔して、操作に疑問が生じても質問をせず勝手に仕事を進めたり、他者を押しのけるような形でグループをひっぱろうとしたり・・・。

といっても、さすがに彼らはファイナリストなので、日常生活や職場では申し分ない人間性をもっている人ばかりなのである。
きっと学生時代も人気者であっただろう。

しかしそんななかでも特に、強く、しなやかで、明るく、ユーモアがあり、そして何より優しい人が求められるのだなとしみじみと感じた。

ちなみに、この宇宙飛行士選抜試験を書類選考段階から描いた「宇宙飛行士の育て方」によると、
「トイレの使い方」をみれば宇宙飛行士に適任かどうかわかるらしい。
周囲の人への配慮が、如実に現れる場面だからだ。
(ちなみにこの本によると、最初の筆記試験段階から試験官はみているそうだ。
解答・・・ではなく、試験の休み時間での態度を・・・)


そんな最終試験も突破した宇宙飛行士たち、いやそんな最終試験に臨む資格を与えられたファイナリストたち。
彼らは、やはりスーパースターではあると改めて思ったが、今までと少々認識が変わった。
「この人たちとおしゃべりしてみたい!」
と思った。
そう、お菓子でもつまみながら、車座になって他愛もないおしゃべりを・・・。
まあ、叶うことは一生ないだろうが、この人たちとそんな時間が持てたら、思い返しては何度も何度もお腹を抱えて笑ってしまうような雑談ができるような気がする。

そのためにはまず、しっかり風邪を治さねば!と読了後、再び布団にもぐりこんだ私である。
(なお、この本があまりに面白かったため、治癒まで長引いてしまったことを付記しておく)





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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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