トランプ、プーチン、安倍晋三・・・。「新・リーダー論」であのコンビが現代のリーダーを斬る!

評価:★★★★★

 ナルシシズムの肥大した根拠のない全能感を持つような指導者は必要ない。
(本文引用)
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 2017年1月20日、オバマ大統領が退任し、いよいよドナルド・トランプ氏が大統領に就任する。
 かつて、これほどまで資質・適格性を問われる大統領はいないのではないか。
 就任式当日には、全米各地でトランプ氏大統領就任に対する抗議集会が開かれるという。

 今、世界は放任主義・超個人主義に大きく傾いている。
 そんな「新自由主義」が跋扈する今、どんなリーダーが世界をけん引しているのか。そのリーダーたちは、リーダーたる資質を持っているのか。
 池上彰・佐藤優の名コンビが、新自由主義時代のリーダーたちをぶった斬る!




●概要


 池上・佐藤両氏は、まず「リーダー不在の時代」である今を分析する。
 リーダー不在の原因のひとつは、信頼関係の崩壊。今、いわゆるエリート層と民衆との間の信頼関係が崩れていることを両氏は指摘する。
 それを象徴するのが、日本の裁判員制度。これはエリート層が自信を失い、市民に責任を丸投げしている証拠であると両氏は言う。

 他、イギリスのEU離脱も国民投票という「丸投げ」を実施。
 結果、制度や国がうまく機能しないという結果を生み出している。 

佐藤 民主主義は、エリートの責任感と国民のエリートへの信頼感によって支えられるものなのに、民主主義の基盤が崩れかけています。

 責任所在の曖昧さ、それに伴うエリートへの不信感、社会性を失い個人主義に走る民衆。
 そんな社会の病理が、言動が派手で攻撃的な「強そうなリーダー」を生んでしまっているという。

●「新・リーダー論」のここが面白い!



 この「新・リーダー論」の面白いところは、ちょっと知られていない裏話や独自の観点から、リーダーの資質を問うている点だ。

 たとえば、「強いリーダー」プーチン大統領について、両氏はこんなエピソードを披露する。
 オリンピックのドーピング問題で、プーチン大統領は「他の国もやっている」といった趣旨の発言をする。
 池上・佐藤両氏は、その発言からプーチンの真の姿を見る。 

そんな人だから、オリンピックのドーピング問題でも「他国もやっている」と言い放ってしまう。その発言がどれだけロシアの信用を失墜させるかがわからない。エリツィンならそんな発言はしない。

 「そんな人だから」というのはプーチン氏の経歴に伴うものだが、その「意外」な観点は、ロシア通の佐藤氏ならではのものだろう。これは私にとって、実に新鮮なものだった。

 また、伊勢志摩サミットに対する両氏の意見も見逃せない。 

池上 そもそもサミットの会場が伊勢志摩に決まった時、咄嗟に私が思ったのは、「えっ、まさか伊勢神宮に首脳たちを連れていくのか。おいおい、よせよ」ということでした。

 各国の首脳陣を、宗教色の強い伊勢神宮に連れていくのがどれだけトンチンカンなことかを、両氏は歯に衣着せぬ言説で主張。
 さらに、日本の自動車不正事件が問題となっているなか、首脳陣を自動車試乗会に連れていくという鈍感さをズバズバと指摘する。

 トランプ、プーチン、金正恩、安倍晋三etc.
 現代のリーダーのズレっぷりを、意外なエピソードや視点からバッサバッサと斬っていく様子は実に面白く痛快だ。


●まとめ



 池上・佐藤両氏は、繰り返し「人間は群れをつくる動物である」と語る。
 さらに「独りでは生きていけない存在である」とも。

 人間が本来そのような性質を持っているにも関わらず、リーダーの責任感が希薄で逃げ腰だと、その社会は崩れてしまう。
そして結果、極論・暴論を吐き、わざと敵を作っては這い上がる「強そうなリーダー」が生まれることになる。
 本書は、そんな現代の病理をさまざまな事例から鋭くえぐり出している。そしてそれらの分析から、両氏は真に幸せな社会への処方箋を書こうとしている。

 アメリカの大統領は、すなわち世界の大統領。すなわち、私たちの生きる世界の大統領イコールドナルド・トランプその人。
 そんな人がリーダーを務める世界と、今後どう向き合っていくべきか。本書はその術を与えてくれる。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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