「がん消滅の罠」岩木一麻 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作

評価:★★★★★

 「医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと、だ」
(本文引用)
______________________________

 2017年・第5回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作である。

 医療本格ミステリーと銘打たれているとおり、確かにミステリーはミステリーだ。
 しかし、こんなミステリーを今まで想像したことがない。着想といい展開といい、今までありそうでなかった、と言うよりも、なさそうでなかった物語。

 これはひょっとすると、新しいミステリーの形の誕生かもしれない。
 面白くて一気に読んだが、それ以上に、そんな「新しいミステリーの幕開け」に立ち会えたことに震えるほど感動している。



__________________________

 がんセンターの医師・夏目と羽島は、ある特定の患者たちを不審に思う。

 それは末期がんが完全寛解した者たち。
 さらに彼らはそろって、がんが発覚する前に、ある生命保険に入っていた。

 その生命保険は、余命半年と診断された時点で三千万円の保険金を受け取れるもので、つまり彼らは多額のお金を受け取っておきながら、元気に生きているというわけだ。
 あまりにもそんな患者が相次いだため、夏目らは不正を疑うが、患者の病状に嘘はなかったことが判明。
 しかしその裏には、医療と人間の関係性を根底から揺るがす壮大なからくりがあった。
________________________

 著者の岩木一麻氏は研究者で、国立がんセンターや放射線医学総合研究所に勤めていたそうだ。
 がん研究やがん医療の最前線について非常に詳しく書かれているのも、納得だ。

 しかしこの破天荒なアイデア、着想は経歴だけでできるものではない。
 万が一、本書で書かれているようなことが現実に起きていたら、そんなことが行なわれていることが発覚したら、その衝撃度は計り知れない。
 医療の信用は地の底の底にまで堕ち、人々は風邪ひとつ引いても病院に行けず、途方に暮れるだろう。

 それだけこの物語は斬新なわけだが、それをリアリティ豊富に仕立てた著者の力量はあっぱれ!こんなことがあるわけないのに、「こんなこと、あるわけないでしょ!」と突っ込みたくなる時が一瞬たりともなかった。

 医学界も文学界もひっくり返すようなミステリー「がん消滅の罠」。
 度肝を抜くからくりと脳がひっくり返るような推理を、ぜひご堪能いただきたい。

詳細情報・ご購入はこちら↓
関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告