仲間由紀恵主演でドラマスタート!宮部みゆき「楽園」はこんな物語。 

評価:★★★★★

 「あのね、幸せになるって、半端じゃなく難しいんですよ。血の繋がった人だってね、切って捨てなくちゃならないときだってあるんです。ろくでなしだったら、しょうがないでしょ?」
(本文引用)
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 2017年1月8日から、WOWOWでドラマ放送される。出演は仲間由紀恵、黒木瞳、小林薫と、新年のスタートにふさわしい豪華な顔ぶれだ。
 そしてそれ以上に、原作はあの宮部みゆきだ。これは面白くないわけがない。

 というわけで、年末年始にかけて読んでみたが、予想を上回る面白さ!

 そして、何といっても物語の密度が濃い。どこまで読んでも濃度が下がることなく、いつまでも冷めない上等なブラックコーヒーをじっくりと味わうような気持ちで、最後まで読むことができた。

 これがドラマになるなんて、どれだけ視聴者を釘付けにすることか・・・。想像するだけでゾワゾワッと鳥肌が立つ。嬉しさと恐ろしさで。
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 主人公は、ライターの前畑滋子。彼女は、9年前の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」参照)に深く関わり、大きな精神的痛手を負った。
 そのダメージは未だ癒えないものの、何とかライターとして復帰。そんなある日、滋子に仕事の依頼が舞い込んでくる。
 
 それは、「自分の息子が超能力を持っているかどうか調べてほしい」という奇妙なものだった。

 実は先ごろ、火事のあった家から少女の遺体が発見されるという事件が報道された。それは16年前に失踪した少女の遺体のようだが、ある少年が、それを予知するような絵を描いていたという。

 さて、その少年は本当に超能力を有していたのだろうか?
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 上下巻合わせて1000頁近くになる大作だが、全く苦にならずに読めた。むしろ、いつまでも読んでいたいと思ったほどだ。

 16年前の失踪事件、被害者少女の家族関係、超能力少年の生い立ち、少女と少年を囲む大人たちの苦しみ、そして、怪しい家の前をわざと通る幼い少女・・・。
 次々と現れる複雑な事情は、どれも眉をひそめたくなる痛ましいもので、聞くだけでも胸がギュウウッと痛くなる。







 しかし、そんな人間関係、心の機微のジャングルを、勇気をもって分け入らないと真実には決してたどり着けない。
 その憎まれ役を前畑滋子が買って出ることで、細かな点が少しずつ線となっていく。その胆力には、ただただ恐れ入る。一方で、滋子の“役者ぶり”には思わずニヤリ。
 「うしろ暗いところのある人間には、こんなハッタリが効果的!」とばかりに、巧みな心理合戦を繰り広げる滋子の姿には、舌を巻く。

 事件の真相に着々と近づいていくプロセスは、恐怖感と高揚感で悶絶したくなる面白さだが、そんな滋子のちょっとお茶目な姿も実に楽しい。(これを芸達者・仲間由紀恵さんが演じると思うと、これは観ないわけにはいかないなぁ・・・。)

 人間にとって最小単位の集団は家族であり、それが楽園と感じられると、とりあえず人は幸せであろう。
 逆に、それが楽園でないと、人はどこまでも崩壊してしまう。
 愛し方や愛され方が間違うと、人はどこまでも堕ち、他の人間まで見事に壊してしまう。

 超能力少年の絵は、滋子と読者に、事件以上の“何か”を永遠に訴えつづける。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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