日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」でも紹介!田牧大和の「恋糸ほぐし 花簪職人四季覚」はお正月に読むのにピッタリ!

評価:★★★★★

  簪で想いを伝えられるような。使う人も贈る人も、幸せにできるような。
 そんな簪を作りたい。

(本文引用)
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 日経新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」で評価が高かったため購入。大晦日あるいは正月三が日に読むのにピッタリのエンディングで、非常に気持ちよく1年を締めくくることができそうな小説だった。
 久しぶりに、小説を読んでグシャグシャに泣いてしまったし・・・。

 恋というか愛というか、とにかく「自分以上に相手を想うことって本当に素敵だな」と、体の奥から思うことができる物語だった。
 「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」ではないが、激しく愛情を示すよりも、ひっそりと相手を恋慕うほうが愛は深く、いざという時に思わぬ力が出るのかもしれない。

 こういう小説、大好きだ~!!



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 主人公の忠吉は、花簪職人だ。しかし、現在は職場を追われ、長屋の家賃も払えなくなる。

 実はこの忠吉、甘いマスクと聞き上手な性格故、知らず知らずのうちに女性に変な気を起こさせてしまう。要するに、モテるのだ。
 それが災いして親方の娘に岡惚れされ、職場を出ざるを得なくなった、というわけである。

 忠吉が実家に帰ると、そこには幼い少女がいた。さきという名の少女は、どうも耳が聞こえないらしい。さきは完全に周囲の人間に対し怯えている様子だった。
 忠吉は、そんなさきの心を開かせようと、さきに似合う簪を作る。

 そのようにして、人の心にスッと入り込む忠吉の姿は評判を呼び、いつしか忠吉の作る簪は恋が叶うアイテムとして有名になるのだが・・・?
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 この物語を読んでいると、「誰かを愛する」とは何と厄介な感情だろうと思う。人と人とのつながりをもつれさせ、一旦こじれるとなかなかほどけない。
 誰を恋慕うこともなく、胸を焦がすこともなければ、こんな面倒なことなど起きないのに・・・と思わずため息が出てしまう。

 しかし同時に、この物語を読んでいると、「誰かを愛する」とは何て美しいのだろうと心が震える。

 特に、第三話の「藤結び」は、ハンカチが一枚では足りないほど泣いてしまった。
 
 ある女性が、亡くなった夫のために藤の簪を作ってほしいと依頼する。
 忠吉の作る簪は「恋が叶う」という。そこで女性は、亡夫が天国で初恋の人と結ばれるよう、忠吉に簪を注文したのだ。
 しかしある日、忠吉の兄弟子が藤の簪を持ってやってくる。

 恋愛物語で泣いたことなど久しくなかったような気がするが、これには泣いた。涙がどうしようもなく止まらず、困った。
 自分以上に相手を想うこと、相手を心から愛すること・・・それがこんな形で証明され結実するとは、まるでミステリー小説のような驚きの展開だが、非常に感動した。
 本当に相手の幸せを願う愛情は、決して人を裏切らないのだな、と幸せな気持ちでいっぱいになった。

 しかしその一方で、愛をこじらせて大変なことを仕出かす人物も登場。
 自分本位の愛は、逆に自分も相手も不幸にするのだ。

 花簪職人による恋愛相談とメンタルクリニックは、愛の本質を突いたなかなかの名医のようだ。
 誰かを愛しく思う気持ちで心がグチャグチャになりそうな人にお薦めの一冊である。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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