安倍首相とオバマ大統領がアリゾナ記念館で慰霊。それを受けて「オバマへの手紙  ヒロシマ訪問秘録」を読んだ。

評価:★★★★★

  「オバマ大統領に謝罪のハードルを課すのは核廃絶の近道ではない。憎しみを超えて世界を考え、被爆者は苦渋の選択で大統領の広島訪問を熱望している」
(本文引用)
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  2016年は、日米の歴史にとって大きな出来事があった。
 5月にはバラク・フセイン・オバマ米大統領が被爆地・ヒロシマを訪れ、12月には安倍首相がアリゾナ記念館(旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する施設)を訪れた。

 そこで、これは今年中に読まねばと思い手に取ったのが、「オバマへの手紙」。

 地元メディアが集めた1472人分の市民の声は、どのようにしてオバマ大統領を動かしたのか。
 被爆者の思いを、広島テレビ放送社長である著者が克明に綴る。
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 本書ではまず、アメリカはヒロシマをどのように認識しているかについて、細かく分析する。
 ヒロシマを訪れる外国人観光客の数や、世界平和における原爆の位置・・・それらについて様々なデータや周囲の声を用いて解説し、「アメリカにおけるヒロシマ感」を説いていく。

 そこから一気に、オバマ大統領の広島招致に向けて具体的な行動に乗り出していくのだが、まず印象的なのは、米国側の心のハードルを下げようと腐心している点だ。

 著者は、まずは日本側からアリゾナ記念館を訪れるべきだと広島県知事らに訴え、広島がサミット開催地になるよう奔走する。
 そうすることで、米国側の心がハードルを下がり、広島を訪問しやすくなる。著者らは、そんな心理的・物理的効果をねらう。

 しかし、結局サミット会場は伊勢志摩に決まるなど、現実はなかなか厳しい。
 そこで最後の秘策ともいえるのが、「オバマへの手紙」だ。

 本書には、オバマ大統領にあてた手紙が何通か掲載されているが、全てに共通しているのは「世界志向・未来志向」であることだ。
 過去を謝罪するのではなく、世界の核廃絶に向けて共に歩もう――そんな切なる未来への願いが、被爆者たちの手紙からはヒシヒシと伝わってくる。
 それはもちろん、「謝罪」となると米国の保守派から反発があり、オバマ大統領の訪問が難しくなるということもあるだろう。前述したように、まずは心のハードルを下げることを考えたためでもあるだろう。

 しかしこれらの手紙を読むと、被爆者の方々は心から「世界の核廃絶」を願っているということがわかる。
 最も望んでいるのは、恨みを晴らすことでもなく、謝罪をしてもらうのでもなく、世界から核をなくすこと――オバマ米大統領のヒロシマ訪問が、その実現に向けてどれだけ大きな一歩であったことか。その意義の大きさが、本書からは伝わってくる。

 巻末には、オバマ米大統領の広島演説が英文・日本語訳で全て掲載されている。
 来年、大統領がトランプ氏になってからはどのように世界が動いていくかはわからない。しかし今は、オバマ大統領のヒロシマ訪問、そして安倍首相のアリゾナ記念館訪問を受けて、ただただ純粋に、核と戦争のない世界になるよう祈りたい。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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