「ウィンター・ホリデー」坂木司  感想


評価:★★★★★

 届けてやる。俺に託されたすべての荷物を、届けてやる。
(本文引用)
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 「♪坂木司の本を あなたにあげる~、あったかいんだからぁ~」と、思わず口ずさんでしまった。

 ホストの男性のもとに突然やってきた小学生男子。
 彼らは実は父子だという。
 そんな彼らが織りなすトラブルは、温かいハートを集めて集めて何とか解決・・・したのかどうかはわからないが、とにかく周囲の人間を和ませることだけは確実だ。そしてもちろん、読む者の心もホカホカを通り越してアッツアツに温めてくれる。

 坂木司さんの小説は、やっぱりいい!
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 元ホストで、現在は宅配便のドライバーをしているヤマトには、小学生の息子・進がいる。
 実はヤマトは最近まで、自分に息子がいることを知らなかった(その衝撃の事実は「ワーキング・ホリデー」の冒頭で知ることとなる)。
 普段、進は母親・由希子と暮らしているが、たまにヤマトのもとにやってきては、ヤマトを助ける。進の方がずっとしっかりしているのだ。

 ヤマトの仕事は、12月からめっぽう忙しくなる。
 クリスマスプレゼント、おせち料理等々を届けなくてはならないからだ。それが終わればバレンタインデーにホワイトデー・・・。
 食べ物を運ぶことも多いこの季節、宅配便の仕事をするヤマトたちは、細心の注意を払いながら懸命に仕事を続ける。それはひとえに、お客様の思いを届けたいからだ。





 しかしそれだけに、小さなトラブルが大きな事態に発展して・・・?
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 ちょっとベタなほどにハートウォーミングなストーリーなのだが、冬の休日には、このベタさが何とも心地よい。
 クリスマスや年末年始、バレンタインやホワイトデーは、下手なサプライズよりも、ベタすぎるほどベタベタな甘~いものをしんみりと味わいたくなる。そんなものではないだろうか。

 時にはサンタクロースとなり、時には幸せな気持ちで新年をスタートさせる役割を担い、時には好きな人に甘く切ない思いを届け、時にはちょっと苦い気持ちも送らなければならない。

 だけど、全ての宅配荷物に共通するのは、相手を思いやる気持ち詰め込まれていること。そんな、気づきそうで気づかなかった宅配荷物の特徴を、本書は優しく鮮やかに描き出している。
 本書を読みながら、先日、実家から届いたお歳暮を思い出し、ちょっと鼻の奥がツンとした。

 そんな宅配ドライバーの方々の「届けたい」という思いと、登場人物全員の「相手を思う気持ち」とが交錯する「ウィンター・ホリデー」。
 これを読めば、きっと冬が好きになる。冬は、実は途轍もなく温かい季節なのではないかと、認識を改めることになるだろう。

 坂木氏による文庫版あとがきが、また泣かせる。
 著者の魅力ある人間性が、そのまま作品の魅力になっていることがよくわかる。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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