考え方のコツ  松浦弥太郎

評価:★★★★★

 当然ながらそれで行き詰まったとき、「自分の得を考えていたらうまくいかない。社会を構成する一人として、社会が喜んでくれることをしないといけない」と気づきました。価値観を一八〇度変えるのは大変でしたが、変えて良かったと思っています。
(本文引用)
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 読書の醍醐味のひとつとして、目から鱗が落ちることが挙げられるだろう。
 本を読むと、自分の固定観念でベットリと張り付いた鱗を、目からバラバラッと落とすことができる。その量が多ければ多いほど「ああ、この本を読んで良かった」と思える。

 その意味で、本書は満足度が飛びぬけて高い一冊だ。この本が落としてくれた鱗は、いったいどれぐらいになるだろう。洗面器では到底足りない。お風呂の浴槽がいっぱいになってしまうかもしれない。

 著者・松浦弥太郎氏は、「暮らしの手帖」の編集長だ。
 人々に、丁寧で快適で幸せな暮らしを提案しつづけた人物は、いったいどのようにして様々なアイデアを生み出したのか。
そして、どのようにして人々に幸せを与え、なおかつ利益を得たのか。
 本書には、その秘訣が詰め込まれている。



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 本書は、おおまかに第5章から成っている。

 アイデアを生み育てる方法を紹介する「思考術」、仕事を成功へと導く「想像術」、人間関係を円滑にし、仕事もうまくいく「コミュニケーション術」、仕事の質を高める「時間管理術」、そしてこれから必要とされるであろう「グローバル術」だ。

 このような仕事術を唱える本は、しばしば「ここは自分には必要ないかな」と思ってしまう個所があるものだ。よって、小説とは違いパパッと読み飛ばしがちになるのだが、本書は一味もふた味も違う。
 語られる一語一語に発見があり、一文字たりとも見逃せない。

 たとえば「思考術」のひとつ、「一考二案を基本とする」などは新鮮だ。
 著者は、最初からひとつの答えにたどり着こうとするのではなく、常に「答えを二つ」というスタンスでいるよう提唱する。
 そうすることで肩の力が抜けて遊びがある状態で考えることができ、また、「思考が偏らずにす」むという。

 しかも、その二つは全く正反対でもかまわないという。さらにそこから、どのように考え壁を突破していくかは、本書を読んでのお楽しみだが、このように本書は「~ねばならない」という縛りを次々とぶち破ってくれる。
 だからといって、ただ自由にすればよい、というわけではない。そこからいかにして、人々を幸せにし、利益を生み出せるアイデアを創出していくか。その秘訣には、目の覚める思いだ。

 また、本書の素晴らしいところは、全編にわたり「人も自分も幸せになる」方法が具体的に紹介されている点だ。
 それにそって周囲を見回してみると、確かに私が尊敬と信頼を置いている人物は「これ」ができている。だから私はこの人を信用でき、話していて安心できるのだ、と膝を打つ思いだった。
 「これ」は何でもないことなのだが、意外とできないものである。私もおおいに反省させられた。

 本書のタイトルを見て、じゃんじゃんアイデアが出て、どんどん儲かる魔法のような仕事術を思い浮かべる人もいるかもしれない。
 しかし本書に書かれていることは、人間として至極真っ当な、これ以上ないほど基本的なことである。
 だが、その何でもなさそうなことが、巡り巡ってこれほどの幸福と利益を生み出すとは、今まで考えたこともなかった。

 本書を読めば、ページを閉じた瞬間から、自分の一挙手一投足が変わるのを実感できる。
 そしてそれにより、周囲も人生も変わっていくことに喜びを感じることだろう。
 生きることが途轍もなく楽しくなる、至高の人生指南書である。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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