池上彰が聞いてわかった生命のしくみ ~東工大で生命科学を学ぶ~  聞き手・池上彰  岩﨑博史/田口英樹著

評価:★★★★★

池上 つまり、生命の本質は自己複製欲求であると。
岩﨑 そもそも、同じものを複製するしくみがないと、生命は今まで生き残ってきませんでしたから。

(本文引用)
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 「オートファジー」。この言葉をどこかで聞いたことがある、という方は多いであろう。
 オートファジーとは、今年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大学栄誉教授・大隅良典氏の受賞理由となるものだ。

 では、その「オートファジー」とは何か。それは、本書の対談でつかむことができる。

 たとえば大隅氏は、細胞内でタンパク質の合成が止まったら細胞の維持ができなくなり、それはほぼ「死」を意味する、と語る。
氏は、それに続けてこう話す。 

「でも、山で遭難したときなどは、水さえ飲んでいれば一週間は生きていられるといいますよね」

 この言葉に対し、池上氏は「何も食べずに、ですね」と確認。



 それに対する大隅氏の言葉こそが、「オートファジー」を語るもの。ノーベル賞を受賞した研究というと、はるか遠くの世界という気がするが、こう聞くと実に身近なものであることがわかる。

 私たちの体に必ず備わっているもので、これがないと生きていけない「オートファジー」。
 本書は、そのオートファジーを含め、東工大の教授らと共に「生命の根源」についてじっくりと考えていく本だ。

 一見、ハードルが高そうに見えるが、何しろ聞き手はあの「子どもニュース」の元・お父さんだ。
 持ち前の咀嚼力と質問力と説明力で、バリバリの文系人間である私にも非常にわかりやすい内容だった。そして、何といっても面白かった!生命を知ることって、こんなにワクワクするものなんだなぁ。
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 本書では、とにかく「生命」についてとことん追究していく。その「とことん」ぶりは、学校の授業だけでは決して実現できないもの。

 「生きているとは、どういうことか」「最初の生物とはどんなもので、それがどのようにして現代まで続いてきたのか」「DNA鑑定とは何か」「地球上には、なぜこんなに多種類の生物がいるのか」・・・そして、「死ぬとはどういうことか」etc.

 その他、遺伝子組み換え食品や、美容にコラーゲン摂取は効くのかといった「ちょっと気になる話題」も網羅されている。

 生物の体のなかで一体何が起こり、どのようにして今まで受け継がれ、進化してきたのか。
 「生命科学」などといきなり言われると怖気づいてしまいそうだが、ここまで基本的なレベルから徹底的に解説されると、「生命科学って何て素敵な学問なのだろう」と感涙。
 彼らにかかれば、生物にオスとメスがいるという当然のことまで輝いて見える。池上氏の巧みな質問と、それに答える岩﨑・田口両教授らの平易な解説や比喩力に、ただただ脱帽だ。

 生物用語の解説も秀逸。「DNA、遺伝子、ゲノム、染色体」の違いの解説は目からウロコの内容で、これを読んでから生物に関するニュース等を見たら、俄然わかりやすく面白くなること確実だ。
 科目としての「生物」アレルギーがある方には、ぜひこの「DNA、遺伝子、ゲノム、染色体」の用語の違いだけでも読んでみてほしい。「生物」に対するとっつきやすさがグンと変わってくるはずだ。

 「生と死」「進化」「病気」等について、うんと基本的なところから知りたい方、また「生物」を暗記科目と思って敬遠している方には、心からお薦めしたい一冊。
 私なんぞ、これを読んだらまた高校時代に戻って「生物」を学びなおしたくなってしまった。タイムマシンがあったら、この本を片手に生物か生命科学に進路を定めていたかもしれないな。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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