USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?  森岡毅

評価:★★★★★

 「今この球を打ちに行かなければ、後々もっと難しい球を打たなくてはならないときが必ずやってくる」と、心の底から思ったのです。
(本文引用)
______________________________

 「こりゃあ、USJの人気が復活するはずだよ」本書を読み、まず、そう思った。
 なぜなら、本書そのものが人を喜ばせるためのサービス精神に満ち満ちているからだ。

 商売がうまく行かないのは、なぜなのか?どうすればアイデアがわいてくるのか?どうすれば勝てるのか?
 そんな、仕事に行き詰っている人々の心をすくい上げて、「企業秘密スレスレでは?」と心配になるほど惜しみなく勝因を語りまくってくれる「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」。

 仕事で悩んでいる方はもちろん、テーマパークに行くのが大好きな方、映画や音楽等エンタテインメントに目がない方にも存分に勉強になる&楽しめる一冊だ。



__________________________

 著者の森岡毅氏は、外資系ヘアケア製品メーカーから、マーケティングのプロとして株式会社ユー・エス・ジェイに入社する。それは、年間入場者数が落ち込んでいたUSJの、業績回復請負人としての転職だった。
 もともと無類のテーマパーク好きだった著者は、USJの現場と世界中のテーマパークを研究した末に、ある明確な目標を立てる。
 
 「3年で、USJ内に『The Wizarding World of Harry Potter』をオープンさせる」

 株式会社ユー・エス・ジェイの年間売り上げは800億円。ハリー・ポッターエリアを作るのに必要な投資は450億円。
 できるだけ少ない出資で、できるだけ大きい利益を上げ続けなくては到底かなわない大勝負。

 そこで著者が打った数々の秘策とは?
__________________________

 本書の冒頭で、著者はいきなりこう告げる。 

「私は奇跡という言葉が好きではありません」

 その言葉のとおり、本書に書かれている「V字回復への道」に奇跡という言葉は全く当てはまらない。

 「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」とは言うが、本書を読む限り、勝ちにも負けにも不思議はない。
 現場百回とばかりに現場に足を運び、舐めるように現場を見つめつづけ、問題点を探る。そして目的を見誤らぬよう気をつけながら、夜も眠れぬほどアイデアを練りつづけ、活路を見出す。
 本書には、USJ全体や各アトラクションについて、そんな成功への道筋が驚くほど詳しく書かれている。

 なかでも、著者自身が味わった「USJの弱点」が面白い。
 
 著者には4人の子どもがおり、そうなると必然的に「大きい子組」と「小さい子組」に分かれることになる。
 そうなると、年齢や身長制限等で「小さい子組」のできることは大幅に限られ、大きい子組がアトラクションを楽しんでいるのを指をくわえて眺めることになる(私も3人兄妹の末っ子なので、その思いはよくわかる)。
 親も、大きい子組担当の親は楽しめるものの、小さい子組担当の親は全く楽しめないという結果になってしまう。

 そんな著者自身の感想を裏付けるように、実際、USJでは「子供連れファミリー」の集客が芳しくなかった。そこで著者は、小さな子供連れでも楽しめるパークにすべく奮闘する。
 その課題を解決するまでのプロセスが、また恐縮するほど詳しく書かれており、「テーマパークを作る人って、何て素晴らしいんだろう!」と著者に抱き着きたくなった。
 夢の空間を作るためには、どれだけの計算と努力と熱意が必要か。本書からは、それがビリビリと伝わってくる。

 そして、「後ろ向きに走るコースター」の開発物語も読みごたえタップリ。「ピンチをチャンスに変える」変革のエッセンスが、この本には詰まっているのである。

 USJに行かれる際にはもちろん、他のテーマパークを訪れる際にも、本書を読んでから行かれることをお薦めする。
 1つひとつのアトラクション、そしてパーク全体が、集客のためにどこにどのような工夫を凝らしているか。
 本書を参考にして、そんな点に目を配ってみれば、いつもの100倍、1000倍、いや10000倍、はテーマパークを楽しめること請け合いだ。

詳細情報・ご購入はこちら↓

関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告