キリンビール高知支店の奇跡 ~勝利の法則は現場で拾え!~  田村潤

評価:★★★★☆

 闘う相手はライバルメーカーではなく、社内の風土だったように思います。
(本文引用)
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 日経新聞のビジネス本ランキングで、ずーーっとランクインしているので、ついに読んだ。

 盤石の地位を築いていたトップメーカーが、他企業に猛追され抜かされたとき、どうすれば良いか。
 右肩下がりの状況にも関わらず、大企業ゆえ誰も危機感を持たなかったとしたら、どうすれば良いか。
 いや、それ以前に、ジリ貧の支店に突然左遷されたら・・・。

 本書は、ある企業と社員が絶体絶命の危機を脱した実録本だ。ちなみに著者の田村潤氏は、当の社員であり、その後代表取締役副社長にまで昇進している。

 その逆転劇の裏には、どんなマジックがあったのか!?



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 著者の田村氏は上司と考え方が合わず、キリンビールの高知支店に「左遷」される。

 キリンビールといえばビールのトップメーカーだが、当時、その地位に陰りが見えていた。
 アサヒ「スーパードライ」の登場により、美味しいビールの概念が大きく変化。スーパードライの大ヒットはビール市場を大きく揺るがし、キリンビールもその煽りを受けることとなる。

 ラガービールの味を変えたことによる全国的な顧客離れ、大企業病にかかった危機感のない職場、おいしそうにスーパードライに口をつける人々・・・。
 田村はキリンビールの首位奪還に向け、社員と一丸となって様々な施策を投じる。
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 もう、このまま池井戸潤さんに小説を書いていただきたい気分爽快な一冊。本書を読むこと自体が、キレとコクのあるビールを飲むようなものだ。

 田村氏は現場主義を徹底しながらも、ただ愚直に地元の人たちと接触するだけではない。
 高知の人々の県民性や心の琴線を探り、ツボを心得た営業展開をすることで、いかに体力を消耗せずに売り上げを伸ばすかを考えていく。

 そう書くと、田村氏が魔法の杖をもつ勝利請負人のように見えるかもしれないが、それは違う。田村氏はひとりの真面目なビジネスマンに過ぎない。しかし、何とかして業績を上げたいと思う熱意と本気度が、そんじょそこらの人と違ったのだ。

 よって、キリンビールが高知の人々に受け入れられるまでの紆余曲折は大変なもの。それを読むだけでも、ビールが飲みたくなるほど汗がダラダラと出てくるが、それだけに、軌道に乗り出してからの物語は何とも痛快。
 営業の仕事に乗り気でなかった社員までもが、目を輝かせて「仕事ってこんなに面白かったんだ!」と言い出す場面などは涙が出る。

 かと言って、本書に書かれていることは特段珍しいものではない。
 「そんな手があったのか!」と目から鱗が落ちるようなものでもない。
 しかし、気づきそうで気づかない「商売のツボ」のようなものが、本書にはギュウギュウに詰め込まれている。
 今ある現場で、それに気づくことができるか。そして、それに気づいた時にすぐさま実行できるかが、逆転できるか否かの分かれ道なのだ。

 本書は魔法の書ではない。
 商売を成功させる魔法は、あなた自身が持っているということをズバリと教えてくれているのだ。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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