世界史としての日本史  半藤一利・出口治明

評価:★★★★★

簡単に言えば、他国の悪口を言って、貶めているヒマがあったら、歴史なり古典なりを勉強して、自分を高める努力をしろってことですよ。
(本文引用)
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  要するに、人間というものは「自分のことを知らなければ知らないほど、自分を過大評価してしまう」ということだ。
 と、いきなり結論から入ってしまったが、この本はそういうことを言っているのではないかと思う。

 「日本のいちばん長い日」等の著作でおなじみの半藤一利氏と、ライフネット生命保険代表取締役会長兼CEOであり世界史に関する本を多数出している出口治明氏。
 稀代の教養人であるこの二人の対談は、日本人として、そして地球人としていかに生きるかを真摯に教えてくれる。実に背筋の伸びる一冊だ。
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 対談の骨子は、表紙にもあるとおり「『日本は特別な国』という思い込みを捨てろ!」だ。
 現在、日本には伝統や技術、経済等の点から「自国は素晴らしい」と思い込む空気が蔓延している。何でも、「他国をけなして日本を褒める本を書けば、日本では間違いなく売れる」とまで言われているという。

 そんな現状を両者は嘆き、「日本」という国ができた頃にまでさかのぼり、「日本は特別な国ではない」「周回遅れの国だ」と主張する。

 そう、タイトルにあるように「世界史としての日本史」を見てみれば、日本は決して立派な国ではない。軍事でも経済でも負け、テロを批判する資格もなく、米国を通してしか世界を見ることのできない、国力の弱い、取るに足らない極東の小さな国なのだ。
 両者は歴史を丁寧にたどりながら、無暗な「自尊史観」に警鐘を鳴らし、日本の現実を見るよう忠告する。

 では、どうすれば根拠のない自尊史観やナショナリズムに走ることなく、日本を冷静に見つめ発展させることができるか。

 両者は、そのためにはまず「勉強をすること」が重要だと語る。

 歴史上の為政者、独裁者の書いた本を原文で読み、司馬遼太郎の小説を読んで良しとせず、人と会い、旅に出て、歴史を肌で学ぶ。
 そうして、少しでも世界の中にある日本の位置を正確に把握することで、極端な自尊史観にも自虐史観にも陥ることなく「今の日本に必要なものは何か」を考えることができる。選挙の投票に行く気にもなれる。結果的に真の国造りにつながると、両者は熱く語る。

 これらの主張を読み、私はある真理に思い至った。

 やはり人というものは、学びが足りなければ足りないほど自己を過大評価し、さらに学びを怠り中身がスカスカになっていく。
 そして逆に、人は学べば学ぶほど自己を謙虚かつ正当に評価し、さらに学ぶことで中身がしっかりと詰まっていく。
 本書は、日本人1人ひとりにその心がけを促すことで、「真に強い国造り」を指南してくれているのだ。

 このお二人の観点は、得られそうでなかなか得られないものだ。日本から日本を眺めて「日本を発展させよう」というのではなく、世界全体の長い歴史から日本を客観的に見つめ、これからの日本に必要なものを具体的に提唱していく。
 これを読めば、むやみやたらと日本を礼賛したり諸外国を排除したりすることが、いかに厚顔無恥で天に唾する行為であるかがわかる。

 終盤では、ありがたいことにお二人の「お薦め本」も紹介。
 紹介されている本は、主に第二次世界大戦を扱ったものだが、日本が大きな曲がり角にある現在、非常に参考になるものであろう。

 この世界に生きる一個人として、襟を正さずにはいられない良書である。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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