広島はすごい  安西巧 

評価:★★★☆☆

「私もそうだが“へじゃがのう・・・・・・”という口癖がある。広島の方言で『それはそうだが・・・・・・』の意味。われわれ広島人には常に物事の対極を考える習性があるんじゃろうね」
(本文引用)
______________________________

 私が生まれ育ったのは東京だが、私の両親は共に山口県出身で、祖父母や親せきはほぼ全員山口県に住んでいる。
 そして、そのほぼ全員が広島カープのファンだ。山口県に、特に応援するようなプロスポーツチーム等もないため、微妙に地元からはずれているものの広島カープを熱狂的に応援している。

 そこで手に取ったのが、この「広島はすごい」

 プロスポーツチームはもちろん大企業や百貨店、大規模なコンサート会場等を抱えているにも関わらず、どこかマイナーなイメージのある広島県。
 本書は、そんなちょっと軽く見られがちな広島のイメージを払拭すべく書かれた、ひたすら「広島LOVE」な一冊である。



____________________

 著者・安西巧氏は、日本経済新聞広島支局長としての仕事を通して、「広島にハマッて」しまう。
 そして、広島発の大企業や広島東洋カープ等に焦点を当てて、広島の魅力を本書で存分に語りまくるわけだが、読むうちに、自分までまんまと「広島にハマッて」しまいそうになる。いや、すでに広島にハマッていたというべきか。日々の生活が、広島の企業に相当支えられているということに気づく。

 本書は、主に自動車メーカー・マツダの復活について書かれているが、私が最も興味を惹かれたのはパンのアンデルセングループの活躍だ。

 本書によると、「トングで焼き立てのパンをトレーにとってレジに持っていく」というスタイルを最初に始めたのが、このアンデルセンだという。
 そのセルフサービススタイルを確立させるためには、常に焼き立てのパンを店舗に置く技術が必須になるわけだが、その裏話が本書にはじっくりと書かれている。

 しかも、その特許をもってすれば巨額の利益を得られたはずなのに、アンデルセン側はその特許を開放。
 そのおかげで、私たちは現在、あらゆるパン屋さんで焼き立てパンを買うことができ、パン屋さん側はなるべく少ない体力的負担で働くことができるわけだが、そのアンデルセンの精神こそが“広島気質”を表していると、著者はいう。

 「群れない、媚びない、靡かない」そして「欲がない」。

 強いものに付和雷同せず、違うものは違うといい、オリジナリティを発揮して、しかも、それで欲をかこうとはしない。
 アンデルセン、カルビー、マツダ、広島東洋カープ、そして数々の広島出身の芸能人たち・・・著者は、彼らに共通するそんな広島人気質を心から愛しながら、「広島」を四方八方から描きぬいていく。

 読みながら何度、著者の「広島愛」にあてられそうになったことだろう。山口県人である私の家族に読ませたら、涙を流しながら読みふけるに違いない。広島県の方はもちろん、中国地方にお住まいの方、いや・・・・・・日本中の方々に読んでいただきたい一冊だ。

 本書を読めばきっと、自分の地元を誇れるようになる。
 マイナー感のある街で暮らしていると、どうしても東京や大阪に対してコンプレックスを感じてしまう。
 しかし、こんな本を読めば、世界は大都市だけで持っているのではない。自分の街も必ず大きな貢献をしているはず、と胸を張れるようになるだろう。

 広島の方も、そうでない方も、ぜひこの夏の帰省にどうぞ。地元への愛情がひときわ深まること間違いなし!だ。

詳細情報・ご購入はこちら↓


関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告