遅咲きの成功者に学ぶ逆転の法則  佐藤光浩

評価:★★★★☆

  「未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗がはじまる」
(本文引用)
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 本書に登場する成功者たちは、確かに遅咲きだ。

 50歳近くになって、無一文から一大企業を築き上げたり、年金で悠々と暮らすつもりが、世界中に店舗展開するようになったり・・・。なかには、長年全く違う仕事についていたのに、思いもよらない方向転換をした人物もいる。

 どれもこれも驚きのエピソードばかりだが、読むうちに、成功には遅咲きも早咲きもないと思えてくる。「人々の役に立ちたい」――その強い思いがあれば、人生に早すぎるも遅すぎるもないのである。
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 本書に登場する成功者たちは19人。いずれも、誰もが知っている大企業の創業者やアーティスト、はたまた研究者や政治家たちである。



 その多くは、最初から大きな成功を視野に入れた人物で、事業を立ち上げては多額の負債を背負い、最終的には大逆転をするといった浮き沈みの激しい人生を送っている。
 
 それはたとえば、マクドナルドを世界最大級にフランチャイズ展開させたレイ・クロックや、あのケンタッキー・フライド・チキンでおなじみのカーネル・サンダースなどが当てはまる。カップヌードルの安藤百福なども同様だ。

 このような立志伝中の人物については、おそらく多くの方が「遅咲きの成功者」としてイメージしやすいであろう。
 しかし本書で取り上げられるのは、そのような人物だけではない。
 本人も予想だにしなかった方向転換をし、大成功をおさめた人物もいる。そのエピソードがめっぽう面白い。

 なかでも、ゴム、タイヤの世界的ブランドであるダンロップ創業者ジョン・ボイド・ダンロップの物語が良い。
 
 ダンロップは、実はもともと獣医師だった。
 ある日、息子のジョニーが「自転車レースに勝ちたい」と言ってくる。ダンロップは、息子を何とか勝たせてやりたいと思うが、せいぜい息子をトレーニングすることぐらいしか浮かばない。

 しかし、ダンロップは、獣医師ならではの視点から解決策を見出す。
 ダンロップは、ガタガタの路面を馬車を引いて歩く馬を、日々かわいそうに思っていた。そこから、車輪の振動を抑えるというアイデアに思い至り、タイヤの改良を決意。
 さらに、タイヤのゴムと動物のお腹の構造に共通点を見出し、クッション性の高いゴムタイヤを発明。見事、ジョニーは自転車レースで優勝するのである。

 このエピソードの面白い点は、ダンロップはそこから、タイヤメーカーの創業者になることなど考えもしなかったことだ。ダンロップは自転車レース後、「これでまた獣医師として平穏な生活に戻れる」と考えていたのだが、そこから運命の歯車が大きく動いていく。

 このダンロップのサクセスストーリーは、本書のなかでも異彩を放つものだが、ダンロップの思いは、成功者すべてに通じるものだ。 

「ジョニーの願いは、多くの子どもたちの願いだった。私が馬車の振動が不快だったのだから、他の人も振動のないタイヤを望んでいるはずだ」

 2アウトから逆転した人物と聞くと、何やら反逆児のようなイメージがあるかもしれない。確かに、彼らにはそんな一面もあるだろう。
 しかし、彼らが大成功を収められた理由は、ただただ「人々の役に立ちたい」という信念を貫き通したことだ。

 本書を手に取った人は、最初は「成功者になりたい」「巨万の富を得たい」という思いからページを繰ったかもしれない。
 しかし最後はきっと、「人々の役に立ちたい」――そう思いながら本を閉じることだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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