理科読をはじめよう ~子どものふしぎ心を育てる12のカギ~   滝川洋二編

評価:★★★★★

 みな熱心に観測しているうち、女の子が三~四人でわたしのところにやってきて「あのー、さっき先生が言ったこと、間違ってるんじゃないですか?」
(本文引用)
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 誰が理科離れ、科学離れなどと言ったのか。子どもたちは皆、立派な科学者じゃないか。
 本書を読みながら、そんな怒りにも喜びにも似た感情が突き上げるように沸き上がった。

 この本は、「子どものころから科学の本を楽しもう」+「大人も科学の本を楽しむ社会にしよう」=「科学の本を読む社会をつくろう」という思いのもとに出版された。執筆陣は12名。大学教授や天文台長など科学の専門家ばかりだ。

 そんな彼らが、子どもたちとの活動を通して、“良い”科学本を紹介していく。
 「うちの子には、どんな科学本がいいのだろう?」「どんな風に読み聞かせをしたらよいのだろう?」、そして「うちの子には科学のセンスがあるのかしら?」・・・そんな疑問・お悩みを抱えている人には最適な一冊だ。



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 本書の目的は2つ。「科学の本を読む社会をつくること」と、子どもたちの「なぜ?」を育てることだ。
 この本には、その信念にふさわしい科学絵本・科学本と理科読の実践例が非常に豊富に紹介されているのだが、読んでいてまず驚くのは「子どもたちの科学者ぶり」だ。

 虹を見れば「飛行機から見たらどうなるか」と尋ね、家の間取りを描かせればテレビをいちばん大きく描き、毎日が「きょう」なので「あした」が永遠に存在しないと言う子どもの思考。
 それらはすべて、大人にはない深遠な空間認識・時空概念を持っていることになる。これはちょっと大人にはない能力だ。

 さらに素晴らしいのは、天文学者・海部宣男氏の体験談だ。
 海部氏は、小学6年生を対象に宇宙の授業を開催。子どもたちは小望遠鏡を組み立て、月を観測、スケッチをする。
 すると、女の子3~4人のグループが、海部氏の説明が間違っているのではないかと指摘してくる。
 この出来事は、子どもたちの観察力の高さ・鋭さを如実に表すもので、海部氏は「うれしくて、本当にぞくぞくし」たと語っている。

 これらのエピソードを読んでいると、「いつの間に、私たち大人は“科学離れ・理科離れ”などと騒ぎ立てるようになってしまったのだろう。子どもたちは、こんなに科学の心を持っているのに」とひどく悲しい気持ちになる。
 大人が子どもを科学から遠ざけ、科学の芽を摘んでしまっているのに、後から慌てて「さあ、科学の心を持とう」など虫が良すぎるのではないか?と、本書を読みながら大いに反省させられた。
 そのような発見があるという意味でも、本書は大人も子どもも科学の心を育むことができる貴重な一冊だ。

 各章には、専門家1人ひとりの「おすすめの五冊」を掲載。さらに「よい科学本のポイント」まで詳しく書かれている。
その内容は幼児から高校生、果ては保護者まで参考になるもので、読んでいるだけで科学が身近で面白いものに感じられてくる。 一度、「科学は苦手」「科学なんてわからない」といった心の鎧を脱いで一読すれば、自分の中に眠っていた科学リテラシーがむくむくと目覚めるだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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