日本語通  山口謡司

評価:★★★★★

 たとえば「光」を「ぴか」、「熱」を「ひい」と読んでいいのか、という質問を受けることがある。
 もちろん、読んでいい。

(本文引用)
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 私は今まで、いわゆる「キラキラネーム」を忌み嫌っていた。なので、自分の子どもには昔ながらの、誰にでも読めてパソコンで一発変換できるような名前をつけている。

 しかし、この本を読んでいたらキラキラネームが嫌いじゃなくなった。いや、嫌いになるどころか、キラキラネームをつけている人こそ実は「真の日本語通」なのではないかと、好感すら抱き始めた。そして逆に、「この漢字はこの読み方」と決めつけていた自分は、ひどく無教養なのではないかと恥ずかしさを感じた。

 本書によると、日本人は奈良時代からずっと、「漢字を自由に訓読してよい」という原則があるという。たとえば「将欲求す」で「ほっす」など・・・。

 この本では、日本語の読み方・書き方・話し方をあらゆる観点から紐解いていく。今すぐ誰かに話したくなる、日本語のウンチク満載の楽しい一冊だ。



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 本書は5章構成。第1章の「漢字通」から始まり、「発音通」、「文法通」、「日本語史通」、「日本語通」と続く。
 どの章も、日本の歴史にかなり深く切り込んで、日本語を解説していくため、最初は「難しそう・・・」と感じるかもしれない。
 しかし、そこをスラスラと読めてしまうのが、本書の巧みさ、面白さだ。

 なぜそんなにスラスラ読めてしまうのかというと、いずれも身近なものを題材とした「すぐに誰かに話したくなるようなウンチク」からアプローチしているからだ。
 
 たとえば記事冒頭で紹介したキラキラネームや、「太平洋と大西洋」の違い、日本サッカー協会のシンボルマーク、「坊ちゃん」か「坊っちゃん」か、洋菓子の名前に関する日本語のトリビアなどは、その場に応じて披露することで話が弾むこと間違いなし。

 なかでも、パイ生地とクリームを重ねたフランスのお菓子ミルフィーユに関する、通訳・翻訳秘話はお茶会話にうってつけのネタだ。
 実はこのミルフィーユ、原語で書くと「mille-feuille」だが、これをミルフィーユと発音すると、フランス人が聞くと思わず笑ってしまうものになるのだとか。
 その真相は本書をお読みいただくとして、このミルフィーユの発音は、本書をきっかけに日本全体で直していったほうが良いのではないか。
 本書を読めば、日本語の知識や世間話のネタを得られるだけでなく、こんな問題意識を芽生えさせることもできるのである。

 さらに本書の魅力を語るとすれば、やはり著者のあふれんばかりの日本語愛であろう。
 著者は漢字・カタカナ・ひらがなの一文字一文字にまで愛情をもって接しており、学生を指導する際にも感動詞を意識しているという。
 そして、著者は熱く語る。
 松尾芭蕉の名句「五月雨をあつめて早し最上川」について、

ぜひ、「五月雨ウォォォォォ」と力を込めて読んで欲しい。

 と。

 日本語通になると、今まで何気なく読み書き話していた言葉が俄然輝いて見える。それはすなわち、人生そのものが楽しくなることにつながる。
 本書は、そんな何気ないけど大切なことに気づかせてくれるのだ。
 
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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