好きなようにしてください ~たった一つの「仕事」の原則~  楠木建

評価:★★★★★

  川の流れの中で、その時に自分が思い定めた自分の持ち場で真剣に力を尽くす。これが仕事をするということであり、世界経営に参画するということです。
(本文引用)
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 芸能界の「テキトーな人」といえば高田純次さんだが、学術界の「テキトーな人」の代表格は、この楠木建氏であろう。

 「川の流れのように」+「時の流れに身をまかせ」=「川の流れに身をまかせ」て生きてきたと語る楠木氏。
 そんなテキトーぶりを、楠木氏は本書で惜しげもなく披露しているが、読みながら、改めてこんなことを認識した。
 
 テキトーな人、あるいはテキトーに見える人で、本当にいい加減で無責任でテキトーな人などいない。
 テキトーな人というのは、周囲の評価やくだらないプライドや定かでない未来といった余計なことに惑わされず、「今やるべきこと1つ」に集中し、その「やるべきこと」については決して疎かにしない人なのだ。



 そんなテキトーな人物・楠木建氏が答える人生相談は、至ってシンプル。
 就職、転職、昇進、結婚生活etc.・・・本書を読めば、自分がいかにどうでも良いことで思い悩み、人生を空回りさせているかがよくわかる。
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 本書には、50もの人生相談が収められている。それらのほとんどは仕事に関わるもの。
 「就職先を大企業にするかスタートアップ企業にするか」「信頼していた部下から不満をぶちまけられた」「転職して間もないが、前職に出戻りたい」「バイトにハマッてしまったのだが、大学を中退してもよいか」「周囲の嫉妬に悩んでます」等々、思わず「なるほどねぇ、それは困ったねぇ」と一緒に悩んであげたくなるものばかりだ。

 そんな相談に対し、楠木氏はまずこう答える。 

「好きなようにしてください」

 楠木氏の基本的な信念は、「人間、九九%は好きなようにやれ」だという。
 これらの相談・お悩みの元凶は、「良し悪し」や「優劣」、「損得」で物事を測っていることだ。大企業の方が体裁が良い、昇進のためには派閥に入っていたほうが良い・・・そのような尺度で生き方を決めると、「川の流れに身をまかせ」てもいずれ溺れてしまう。
 そうではなく、「好き嫌い」と、それを反映させた「向き不向き」を人生の基準にすれば、溺れることなく人生の良い流れを作ることができると、著者は熱く語る。

 しかしそれは、「好き」というだけで甘い夢を見つづけよ、という意味ではない。
 楠木氏は、それが「仕事」になるために押さえるべきこと、外せないこともきっちりと解説。著者が語る「好きなようにしてください」は、その語感とは裏腹に、意外と厳しいものなのだ(だからこそ、「好き嫌い」で物事を決めることが重要なのだ。「好き」でないと、この仕事の鉄則を守ることはひどく困難になるだろう)。

 回答のなかで、楠木氏はビジネスで成功した人物のエピソードをちょこちょこ紹介するが、それらはいずれも「川の流れにイイ感じで身をまかせた」人たち。
 「好きなようにする精神」と「仕事にするのに外せない鉄則」を心に留めておけば、これらの相談など吹っ飛んでしまうことがよ~くわかる。

 本書が説く「たった1つの仕事の勘所」を押さえ、あとは好きなようにすれば、とりあえず後悔のない人生を送ることができるだろう。いや、「後悔のない」どころか、思わぬ幸せな人生が待っているかもしれない。
 棺桶に足を突っ込んだ時に「ああすればよかった、こうすればよかった」と頭を抱えたくない人は必読の、痛快かつ誠実な人生指南書である。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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