ミッドナイト・ジャーナル  本城雅人

評価:★★★★☆

「親父はたまに家で報道番組を見ていると言ってた。『おいおい、おまえらなに言ってるんだ、こんな時間にテレビに出てたら真実なんて暴けねえだろ』って」
(本文引用)
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  この小説を読み、新聞の読み方がガラリと変わった。

 タイトルのつけ方、記事の配置、文字の大きさ・・・。新聞紙面に載っている文字や写真の隅々まで、ビンビンに神経を尖らせながら、なめるように読むようになってしまった。
 新聞の1文字1文字に、写真の1枚1枚に、配置の1つひとつに、ここまで記者たちの思いがこめられているとは・・・。

 別に新聞の作り方が載っている社会科見学のような内容ではない。あくまで社会派ミステリーだ。
 しかし、ネットではなく紙で新聞を読まれる方にとっては必読の一冊。新聞に対する愛着が今までの数倍、数百倍増すこと間違いなしだ。



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 新聞記者の関口、松本らは7年前に大きな失敗をした。
 女児連続連れ去り事件において、被害者が無事保護されたのにも関わらず、勇み足で「遺体発見か」と報じてしまったのだ。

 彼らはその責任を取り、方々に異動させられるが、ここへ来て再度女児連れ去り事件が多発する。
 7年前の事件を悔いる記者たちは、事件を早く正確に報道することで、次の被害者を出さないよう不眠不休で取材に走る。
 今回の事件と7年前の事件との間に関連性はあるのか? そして、今度こそ記者たちは社会的責任を果たすことができるのか?
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 この物語には、2つの楽しみ方がある。

 まず1つは、7年前の事件と今回の事件との関連性を推理するミステリー的要素だ。
 特に、連れ去り犯は複数なのか単独なのかを焦点とした取材は鬼気迫るもの。
 貴重な目撃証言は、いったいどこまで信用できるのか。見るもの聞くもの全てが疑わしいなか、その真偽を判定する新聞記者たちの嗅覚には舌を巻いた。
 ミステリーといえば大抵警察が主役だが、記者の視点から見るミステリーというものも実に面白い。こんな読み方もあったんだなぁ。

 そして2つめは、毎日欠かさず新聞紙面を作り上げていく、記者たちの緊迫感だ。
 一歩の違いで特ダネを逃し、一歩の違いで遺族を激しく傷つけ、一歩の違いで第二第三の被害者を生むことになる。
 その、ピアノ線の上を絶え間なく走り続けるような記者たちの日常は、読むだけで汗が噴き出してくる。

 特にレイアウトの指示場面などは、紙の新聞を一貫して読みつづけてきた身としては、非常に読み応えのあるものだった。
 「ニュースはネットで済ませようかな・・・」と心揺れる時もあったが、本書を読み、これからも紙の新聞を読みつづけようと固く決心した。この小説に出会えて良かった!

 ミステリーを通して、新聞記者、そして新聞というものの使命を熱く訴える「ミッドナイト・ジャーナル」。
 これを読めば、ネット派の人々も新聞の魅力に気づき、憑りつかれてしまうだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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