あの人が同窓会に来ない理由  はらだみずき

評価:★★★★☆

「要するにさ、会いたい人というのは、簡単には会えない人のことなのかもしれない。だからこそ、思いは募るんじゃないかな」
(本文引用)
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  以前から、同窓会に行く人と行かない人の違いとは何だろう、と思っていた。遠方に越してしまったとか土日に仕事があるとか、色々物理的な事情もあろうが、それだけではないのだろう。

 たとえば私の母は、70歳を越えても、未だに小学校の同窓会に必ず足を運ぶ。大学まで続く付属校だったため絆が強いのかもしれないが、それにしても毎回よく行くなぁと感心する。
 一方、私はクラスや学年の同窓会には一度も行ったことがない。当時の仲良しグループとは内輪でしばしば会っているし、他に特段会いたい人もいないからだ(会えば会ったで懐かしいのであろうが・・・)。



 しかし、同窓会に行く理由・行かない理由というものは、思っていた以上に複雑で根が深いようだ。
 同窓会の参加人数を増やすべく奮闘する幹事たちと、クラスメイトたちのドラマを描く「あの人が同窓会に来ない理由」
 なぜあの人は同窓会に行くのか、なぜあの人は行かないのか。そんな疑問をほんの少しでも持ったことがあるなら、ぜひ手に取ってみてほしい一冊だ。
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 35歳の藤本宏樹は、中学校の同窓会にまめに顔を出している。ところが、ひょんなきっかけで次回の幹事を引き受けるはめになってしまった。
 年月が経っていることもあってか、出席予定者は半分にも届かない。そこで宏樹たち幹事は、クラスのキーパーソンだった人物を捜し出し、それを囮に出席者を増やそうと画策するが・・・?
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 この小説は一見ほのぼのコメディのように見せて、謎めいた展開である点が実に面白い。読ませる。
 同窓会出席の呼びかけを通して、20年前にクラスで起こった事件の真相が徐々に露わになるあたり、ミステリー小説を読んでいるようでグイグイ惹きこまれた。

 そして、これは単に「同窓会に来ない理由」を描いた小説ではないことがわかる。
 中学時代のクラスカーストは、いったいどのようにして起きたのか。そして、そのカーストは本当に正しいものだったのか。
 その真実を掘り下げることによって、子ども時代には見えなかった「大切なもの」が次第に見えてくるラストには、驚愕しつつも素直に感動した。
 正直でちょっと残酷な中学時代を経ることで、人は寛容で賢明な大人になっていくのかもしれない。

 かつて中高生だった大人はもちろんだが、現役の中高生が読んでも楽しめる作品だろう。もし、今現在冴えない学生時代を送っていると感じていたり、クラスの人気者を羨ましく思っていたりしたら、ぜひ読んでみてほしい。
 同窓会に来なかったあの人たちの人生が、同窓会に来させようとする宏樹たちの思いが、きっとあなたを救ってくれる。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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