年下のセンセイ  中村航

評価:★★★★☆

「失う前から失うことを怖れる。得てもいないのに、失うことを畏れる」
本山さんはにっこりと透に微笑みかけた。
「そういうのを、愚か者の得意なフットワーク、っていうんですよ」

(本文引用)
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 はい、次の月9はこれに決まり!と言いたくなるぐらい、ド直球な恋愛小説。そう聞くと、却って敬遠する人もいるかもしれないが、まあ読んでみてほしい。
 二人をつなぐ生け花に、それぞれの思いを投影させるあたり、何とも品があって可憐で、名作文学を読んでいるような気分になり酔いしれる。
 ドラマ化されたら、老いも若きも胸キュンホロリと画面に釘づけになってしまうだろう。
あ、主演はぜひ福士蒼汰くんと波瑠さんでお願いします(ずばり透センセイ役は、福士くん以外はありえない!)。
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 28歳の本山みのりは、生け花教室に通っている。そこで、先生の孫である滝川透と出会う。透は、生け花に関してはみのりの師匠だが、人生ではみのりのほうがキャリアを積んでいる。透はみのりの8歳年下なのだ。



 そんな年齢差にも関わらず、みのりと透は惹かれあうが、透は間もなく東京に旅立つという。
 別れの間際に、二人は互いの思いを確認しあうが、みのりはその後、透と距離をとる。
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 全体的に非常に王道な恋愛物語だ。しかし全く薄っぺらさや陳腐さを感じない。それは、二人の思いを紡ぐ言葉が何とも美しいからだろう。互いの距離をはかりながら動く二人の所作が、何とも上品だからだろう。そこに、中村航という小説家の品格と凄みを感じる。

 なかでも、噴水のある公園で待ち合わせるシーンは絶品。噴き上がる水の高さに、この恋のハードルの高さを重ね合わせる透とみのりの苦悶には、思わず涙がこぼれた。
 ドラマ化されたら、この「公園の噴水前での待ち合わせ」シーンは、テレビ史に残る名場面になるのではないか。

 もう十分“おばちゃん”の年齢である私は、純な恋愛小説やドラマよりも「渡る世間は鬼ばかり」のようなドロドロしたものでないと気がすまなくなっていた。
 しかし、この「年下のセンセイ」は、純な恋愛小説やドラマに素直にのめりこんでいた“あの頃”の透明な気持ちを思い出させてくれた。
 
 正統派ラブストーリーって、いいね。すっごくいいね。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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