ミステリー・アリーナ  深水黎一郎

評価:★★★☆☆

「ミステリー研の連中が、集まってやるのは何だ? ただ飲み会か? それとも麻雀大会か? 違うだろ?」
(本文引用)
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 ミステリーには、いくつか禁じ手があるという。
 たとえば、「探偵自身が犯人であってはならない」、「読者の知らない手がかりで解決してはならない」、「双子や一人二役は、あらかじめ読者に知らせておかないといけない」etc.
 
 しかし、本気で事件を解決しようと思ったら、こんな規則はぶち破らなければならないのかもしれない。
 いくら、思わぬ手がかりが後出しジャンケンで出されようが、名前の読み方が違おうが、一人二役だろうが何役だろうが、怒らず腐らず事件の真相を見抜かなければならない。
 そんな「読者への挑戦状」が、この怪作「ミステリー・アリーナ」である。
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 事件は、とある資産家の別荘で起きる。
 大雨の日に、ミステリー研究会のOB・OGがそこに集まるが、そこで家主の娘・鞠子の死体が発見される。
 
 ミステリー研のメンバーは犯人捜しを始めるが、捜査は難航。ついに第二、第三の被害者まで出てしまう。
 さて、この事件の犯人はいったい誰なのか?
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 本書では、問題編と解答者編が交互に登場する。「問題編」では事件の経緯が述べられ、「解答者編」では、事件の謎を解くために解答者たちが競い合う内容となっている。イメージとしては、映画「マグノリア」といったところであろうか。

 こう書くと、ほんのちょっと凝った構成のフツーのミステリー小説に思えるかもしれないが、とにかく真相究明への経緯が型破り!「ミステリーの禁じ手」をせせら笑うようなハチャメチャぶりだ。
 解答者たちの間では「そんなの聞いてないよ!」とブーイングが巻き起こるが、読み手としては全く怒りを感じない。「ああ、ミステリーを読むときには、そこまで考えないといけないんだなぁ」と神妙な気持ちになってしまった。
 
 とはいえ、世界中のミステリー小説がこのようなものになってしまったら、ミステリー小説という分野自体が崩壊してしまうであろうが、たまにはこんな一冊があっても良い。
 本書を読み頭の中がかき回されることで、ミステリーに向き合う意識が変わることだろう。たとえば、今まで物語の中の探偵に事件解決を任せていたのが、「よっしゃ!自分が解決してやろう」という気持ちになってくるとか、ね。

 ミステリーファンの間で好き嫌いが別れる作品かもしれないが、新たにミステリーを楽しむ起爆剤になることは間違いなし。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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