国立科学博物館のひみつ  成毛眞/折原守

科博はすでに人類の宝であるものと、これから人類の宝になるかもしれないものの宝庫であり、宝そのものでもありますね。
(成毛眞氏と折原守氏の対談より引用)
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 私は、賞賛の意味で「ヤバイ」という言葉を使うのは好きではない(賞賛の意味でなくても、極力使わないようにしているが)。

 しかし本書を読みながら、思わず心の中でこう叫んでしまった。

 「この本・・・・、まじでヤバイ」

 子どもの頃によく、父親に連れられて出かけた国立科学博物館。
 そして現在、子どもが小学校に上がってからまた通うようになった国立科学博物館。
 気がつけば、家族そろって科博ファンになってしまったわが家にとって、この本の素晴らしさは、どんな言葉を尽くしても表現しきれない。



 そこでたまらず、体の奥から叫んでしまった。

  「うっわ、この本、まじでヤバイ!!!」
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 詳しいレビューは、私が小学生の保護者向けに書いているブログ「小学生の『これ、いいよ!』」に載せているため、ここではそこで紹介していない「本書の魅力」を書いていく。
 
 まず面白いのは、成毛眞氏の、子どものように鋭く素直な観察力・洞察力である。

 たとえば、こんな場面がある。
 「日本の鳥」の展示コーナーで、成毛氏はある記載に目を留める。
 それは、アカヒゲの学名にkomadori、コマドリの学名にakahigeと書いてあるというものだ。
 一見、科博の記載ミスかと思われるこの表記だが、実はこれは、博物学者シーボルトのミス。
 江戸時代、日本で標本を採取したシーボルトは、名前を間違えて登録。しかし国際動物命名規約で、一度つけた学名を取り消すことはできないため、そのまま現在に至っているのだそうだ。
 展示ひとつから、こんなエピソードが聞けるのも、本書ならではだ。

 他にも、展示されているサンゴの色が途中で変わっている理由や、死骸と化石の違い等、成毛氏は気づきそうで気づかない視点から数々の質問を浴びせていく。
 それらの回答からは、「博物館を運営する」ということの大変な工夫と労力と面白さが垣間見られる。
 こんなエピソードを読んでしまったら、もう「ただ順路に従ってボンヤリと展示を眺める」などという気の抜けた観賞はできなくなるだろう。ああ、これから科博に行くときには、もっと早い時間に行かなくては(今までの何倍も時間をかけて観るため)!

 さらに科博ファンにとってたまらないのは、「自然史標本棟潜入取材!」の章だ。
 研究者たちが、どのようにして動物の剥製を管理し、頭蓋骨から日本人の歴史を読み取り、乾燥に弱い水生生物を保存しているか。
 その、研究対象への愛情から成る知恵には、ただただ脱帽。
 なかでも、水槽に入れられた巨大イカの姿には息をのむ。紙面でこれだけの迫力なのだから、実際に観た成毛氏の感動はいかばかりだったかと、想像するだけでめまいがしてくる。

 なぜ、彼らはここまでできるのか。やはり科学が好きだからだろうか。
 もちろん、それもあるであろうが、折原氏のあとがきを読み、私はこう思った。

 「科博の人たちは、人間が大好きなのだ」と。

 一人でも多くの人に、この世界の素晴らしさを見せたい。その情熱があってこそ、彼らはここまでできるのだ、と私は強烈に感じた。

 日本の宝箱・国立科学博物館。
 ぜひ本書を片手に、文化の杜に出向いていただきたい。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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