ブータン、これでいいのだ  御手洗瑞子

幸せの国といわれるブータンの人たちですが、私はブータンの人が「幸せになりたい!」とか「私は幸せではない気がする・・・・・・」と自分の幸せについて語っているのを、一度も聞いたことがありません。
(本文引用)
_____________________________________

 糸井重里氏が帯コメントで「意外と重要な本なのではないかと思う。」と書いているが、いやいや、これは「結構」、いや「かなり」重要な本なのではないかと思う。

 著者は、「気仙沼ニッティング」で代表取締役を務める御手洗瑞子氏。氏は現在、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地で、雇用と誇りを再生させる事業に従事している。

 実は御手洗氏は以前、ブータンで首相のフェローとして働いていた。
 GNH(国民総幸福量)を、国づくりの概念として掲げるブータン。「幸せの国」といわれるブータン。しかして、日本人公務員の目からみたブータンの実態とは!?
________________________

 全体的に非常に読みやすい文章で、かつ、緊張と緩和、剛と柔がバランスよく書かれているため、全く飽きることなく読めた。

 これが単に「ブータンはこんなところがのんびりしていて幸せですよー」といった内容だったら、さっさと放り投げてしまっただろう。
 しかし本書は、ブータンのちょっとのんびりしたエピソードを交えつつも、「ブータンという国」および「ブータンの人々」が抱える問題点に果敢に言及している。

 よって、ブータンに限らず「国を発展させることとは何か」「真に暮らしやすい国にするために、人々はどのような努力をすべきか」といったことまで、じっくり考えることができる。その点で、本書は「かなり重要な本」である。





 なかでも印象的なのは、ブータンの人々の「買い物感覚」に関するエピソードだ。

 著者によると、ブータンの人々は「高くて良いもの」を買う傾向が強いという。
 しかし、その買い物行動はどう考えても「分不相応」なもの。月収2~3万円の人がローンを組んで100万円の車を買うことなど当たり前なのだとか。
 そんなバブルな状況が続いているため、ブータン経済はついにIMF(国際通貨基金)から勧告が来る羽目に。
 ブータンの未来を心配する著者は、その原因について様々な視点から分析するのだが、そんな「多様な視点」が本書の面白さ。

 海外から流れ込む魅力ある情報や製品、現物経済から貨幣経済への変化、そしてブータンの人々の考え方・・・。

 日本人の視点のみから一刀両断するのではなく、徹底的にブータンの人々の視点に立ち、さらにブータンという国が経てきた歴史や社会的背景までをも加味して「ブータンの消費行動」に迫っていくくだりは、非常に説得力が高く読み応えのあるものだ。

 その他、ブータンの観光客が3~4月と9~10月に極端に集中する「ふたこぶラクダ」の分析も面白い。常に物事の真意、問題点の真犯人をつかもうと全力で考える御手洗氏の姿には、恐れ入るばかりだ。

 こう書くと、ずいぶん堅苦しい本のように思われるかもしれないが、先述したように本書には「剛と柔」がバランス良く盛り込まれている。
 なかでも、ブータンの恋愛事情が赤裸々に語られる章などは、テレビで「世界びっくり情報」を観るような感覚で非常に楽しく読める。

 ブータンの「これでいい」部分にも「これではよくないのかもしれない」部分にもズバズバ斬りこみ、おもしろ真面目に書かれた「ブータン、これでいいのだ」
 本書を読むことで、日本の「良い部分」と「悪い部分」、そして自分の生き方にも思いを巡らせることができるだろう。

詳細情報・ご購入はこちら↓

関連記事
プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

最新記事
シンプルアーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
QRコード
QR

書評・レビュー ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
カテゴリ
広告
記事更新情報
リンク
広告