すべての「学び」の前に鍛えるべきは、「教わる力」である。  牧田幸裕

合理的、効率的なルートを設定できたのであれば、そこを全力で走るのだ。
(「あとがき」より)
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 文藝春秋(2015年9月号)に、又吉直樹氏のインタビューが載っている。
 初めて書いた小説で芥川賞受賞という快挙を成し遂げ、世間ではシンデレラストーリーのように言われているが、インタビューを読むと、「芥川賞を獲って然るべき人物」であることがわかる。

 その理由は、又吉氏が、この本の内容をそのまま体現したような人物だからだ。

 「すべての『学び』の前に鍛えるべきは、『教わる力』である。」

 効率よく結果を出すには、「教わる力」が必要である。「教わる力」があれば、無駄な労力を使うことなく試験に合格できる、会社で昇進できる、スポーツも上達する。そして、「初めての小説執筆」でも権威ある賞を獲ることができる。
 本書では、そんな「きっちりと確実に結果と成果を出す」方法を伝授する。
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 この本が対象とするのは、ずばり「もったいない人」だ。
 一生懸命勉強しているのに、成績が伸びない。一流大学を出て仕事も頑張っているのに、なかなか昇進できない。レッスンプロについて必死で練習しているのに、ゴルフで100を切れない。
 そんな、労多くして功少なしの「もったいない人」を、「効率良く成果を出せる人」へとガラリと変えるのが本書のねらいだ。





 その方法は、主にこの2つだ。
 
 「自分の判断軸を持つ」
 「情報の取捨選択をする」

 
 この2つを会得すると、まず、相手が教えてくれることを自分の血肉とすることができる。すなわちこれが、「教わる力」だ。
 そんな「教わる力」がつくと、自然に、相手が何を求めているかを把握することに心血を注ぐようになる。

 試験も仕事もスポーツも、常に相手があってのこと。入学試験ならば、志望大学がどんな学生を求めているかを知ることが先決だし、仕事もクライアントが求めているものを出すことが何よりも大事だ。
 要するに、「効率よく成果・結果を出す」というのは、「相手が求めているものを把握し、実現させる」ことなのである。

 本書では、そのわかりやすい例として、東京大学合格者の勉強法を挙げる。もし身近に東大出身者や在学生がいたら(もちろんあなた自身でも)、この本の勉強法をもとに「ねえ、こういう風にした?」と聞いてみると良い。十中八九「うん、そうしたよ」と言うであろう(※ちなみに私が実際に聞いて回ってみたところ、100%この本の通りだった。「水曜日のダウンタウン」のたむけんコーナーで、本書をもとに「東大合格者で●●していない奴マジで0人説」という企画をぜひやっていただきたい)

 さてここで、又吉直樹氏の話に戻る(別に本書に又吉氏の話が載っているわけではないので、誤解なきように)。
 文藝春秋のインタビューによると、又吉氏は少年時代に芥川龍之介の「トロッコ」を読んで以来、読書に夢中になったという。
 そして大量に本を読むうちに、今の作家で芥川や太宰みたいな作品を書いているのは誰なのかと考え、それなら芥川賞をとった作品を読めばいいのではないかと気づく。以来、芥川賞受賞作と選評を本選びの基準にしてきたと語る。

 これはまさしく、「教わる力」で言うところの「自分の判断軸ができた状態」である。
 そして本書でも書かれているが、自分の判断軸を作るには、他人の判断軸の力をおおいに借りることが必要だ。又吉氏は、大量の読書に加え、芥川賞受賞作と選評を読む込むことで、「他人の判断軸の力を借りて自分の判断軸を確立させる」ことに成功したのである。



 そこまでくれば、後は自分の信じる道をひたすら走るのみ。
 そうして又吉氏は、驚きの快挙を成し遂げた。又吉氏こそ、本書が唱える「教わる力」の体現者であり成功例なのだ。

 「すべての『学び』の前に鍛えるべきは、『教わる力』である。」
 文学賞作家やイチローのような大リーガーとまでは言わないが、何か今、ひとつでも目標があるのなら、読んで決して損はない一冊。
 同じ努力をするにしても、努力にはきちんと方向性ややり方がある。本書を通してそれを知ることで、夢に向かって大きく一歩、近づくことができるだろう。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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