モンローが死んだ日  小池真理子

図らずしてそんなことを口にした鏡子だったが、それから七カ月後、自分がこの日、この時、思わず口走った言葉の重大さに気づくのである。
(本文引用)
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 今年いちばんのイッキ読み。ぜひぜひ、ドラマ化してほしい。
 いや、ジュリアン・ムーアとディラン・マクダーモット主演で映画化、全米公開、逆輸入で日本でロードショー・・・という流れでもいいかもしれない。
 この溶けるような愛と、それを一気に突き崩すサスペンスフルなストーリー展開は、観衆をスクリーンに釘付けにするだろう。あ~、想像するだけでゾクゾクする!
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 還暦を間近に控えた鏡子は、軽井沢近くの記念館で管理人をしている。夫はすでに他界しており、子どももいないため、一軒家にひとり静かに暮らしている。
 そんな鏡子は、一人の精神科医の男性・高橋と出会う。知り合った場所は、地元のクリニックの精神科。夫の死後、精神状態が不安定になったために受診したのが高橋であった。


 高橋の治療は非常に適切で、鏡子の精神状態はどんどん良くなっていく。薬の処方も良かったのであろうが、何より「自分の心の闇を全て受け入れてくれる」高橋という存在そのものが大きかった。
 二人は次第に親密になり、男女の関係になる。お互い離別・死別しているため、誰にも後ろ暗いところのない恋愛だった。

 しかし、そんな満たされた日々のなか、高橋は忽然と姿を消す。
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 この小説の魅力は、謎が突然やってくるわけではないところだ。
 鏡子と高橋が楽しい時間を過ごしている間も、ごく小さな穴から少しずつ少しずつ砂がこぼれるように、「高橋の謎」がいたる所に落とされていく。
 
 何でもない質問に、わずかながら間をおいて返事をする高橋。鏡子の無邪気な言葉に、一瞬、氷のように表情を硬くする高橋。

 それらのちょっとした「高橋の不自然さ」が度重なっていくうちに、読者は「あ、これはもしかして・・・」と予測がついてくる。そしてその推理が当たった時、読者は思わず快哉を叫ぶだろう。
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 が、そんな読者の心理など作者はお見通しのようだ。
 その「謎」が明かされてからがなお面白く、驚きの事実が続々と発覚。
 鏡子自身も、「高橋の謎」を知ってなお、 

鏡子は、それまでかろうじて自分なりに作り上げてきた頭の中のパズルが、完成を待たずにいっぺんに爆風を受け、散り散りに飛び散ってしまったような感覚を味わった。

 と言うほど、ショッキングな真実が次々と明らかになる。

 かといって、これは単なる刺激的な物語ではない。
 時に、死ぬよりも生きるほうが苦しいとまで言わしめる、人間の一生。人はなぜ、何のためにそんな茨の道を歩いていかねばならないのか。なぜ、死に物狂いで峠を越えようとしてしまうのか。そして、そんななかで安らぎを求めるのは、果たして罪なのか。

 そんな人生を生き抜くことの難しさについて、こめかみが痛くなるほど考えさせられる小説でもあった。改めて、小池真理子という作家の偉大さを見た思いだ。

 しつこいようだが、映像化したら脳天が突き抜けるほど面白いと思うので、何卒ドラマ化・映画化を実現していただきたい。下に配役(妄想)を書いておくので、ぜひ!!

鏡子:原田美枝子
高橋:佐藤浩市
康代:渡辺えり
宇津木:志賀廣太郎
川原:渡辺直美

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プロフィール

アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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