「組織論再入門」

 組織デザインを考えるのは、とても楽しい。だから私は「組織エンジニア」という肩書を名乗っている。科学者ではなくて、エンジニアだ。理屈はどうであれ、組織は動けばいい。
 あなたも組織エンジニアになってほしい。その上で、組織デザインをする時には、教科書どおりではなく、創造性を働かせて、今までなかったような組織を生み出していってもらいたい。
(本文引用)
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 人を活かして、組織に利益をもたらすにはどうしたらよいか。
 これは企業だけでなく、地域、学校、家庭でも頭を悩ませる課題である。

 しかしそれが解決できたとき、人は生き生きと動き出し、組織は大きな価値と利益を生み出す。
 こんな夢のような話を現実化できる(かもしれない)教科書。
 それが「組織論再入門」である。

 内容は、タイトル通りひたすら「組織マネジメント」について書かれている。
 そして、その類の書籍でよく見られる「状況対応リーダーシップ」や「欲求段階説」、「ハーズバーグの二要因理論」などの解説も当然書かれている。



 これだけ聞くと何だか退屈そうに思えるが、私は、この本を一気に読んでしまった。
 300を優に超えるページ数であるにも関わらず、である。

 なぜか。

 それは、プロローグで野田氏が述べているように「血の通った言葉」で書く工夫が凝らされているからだ。

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  とにかくこの教科書、事例や例えが豊富で、読者を飽きさせない。
 テレビで「ヒット商品の裏側」や「実際にあった信じられない話」といった番組を見ているようなワクワクした気分にすらなれる。

 私が特に印象に残った実例は、賢明な「部門化」により、居場所のなかった社員を開花させた話である。



 「部門化」とは、組織がアウトプット(例えば商品)を生み出すまでの一工程だ。

 まず作業を分解し、そのなかで類似の作業はひとつにまとめ、分けるべき作業は切り離す。

 例えば大福を作る際に、餅生地を伸ばしたり包んだりする作業は、生地を乾かさないために1人の人間が行い、アンコを丸める作業は手が汚れるため、他の作業とは切り離す。

 そして最後の包装は、大福に限らずどの和菓子も同じような作業になるため、「包装部門」として集約する。

 このように複数の作業工程を1つにしたり、切り離したり、商品をまたがってまとめたりすることを、「部門化」という。

 そこで、ある社員の話が出る。

 数学の博士号を取得し、数値解析ではいくつもの特許を持っているという天才的な頭脳をもつ男性社員が、あるシンクタンクに入った。

 しかし彼は、分析はできても、顧客へのプレゼンテーションがどうにも苦手であった。
 会社としては、優秀な彼を辞めさせることも考えたが、そこである社員が一計を案じる。

 彼に、複数プロジェクトの数値解析をまとめてやってもらうことにしたのだ。

 しかも、数値解析にしぼった社内アウトソーシングの組織を作ったために、彼は自分の技量をいかんなく発揮できただけでなく、複数プロジェクトの受注に廻ることで、不得手だったコミュニケーション能力もついたという。

 この「部門化」の成功物語からは、まるで彼だけでなく、社内全員の笑顔が見えてくるようだ。

 本書には、このようなサクセスストーリーから失敗談まで、実にバリエーション豊富に実例が載せられている。

 以前ご紹介した「ストーリーとしての競争戦略」もそうだが、このような人間の息吹が聞こえるマネジメント本は、小説に勝るとも劣らない人間ドラマの宝箱といえるだろう。

 自分をとりまくあらゆる組織を、活性化させたい。
 満足した働き方、生き方をしたい。
 そしてできれば、多くの利益を得たい。

 そう思ったら、いつでも何度でも開くべき一冊である。
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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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