ナイルパーチの女子会 柚木麻子
だから、誰も彼女の傍に居たがらない。
(本文引用)
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栄利子は、あるブログを読むのにハマっており、そのブログ主に近づく機会をうかがう。
文章と写真からブログ主の居場所を割り出し、ついに栄利子はブログ主・翔子と出会う。
意気投合する栄利子と翔子だが、次第に栄利子は、翔子の私生活やブログに激しく干渉してくるようになる。突然の自宅訪問、実家帰省中に届く何十通ものメール、ブログへの悪意に満ちたコメント・・・。
実は栄利子は、過去にその性癖から、幼なじみの人生を壊したことがあった。
翔子は栄利子から、必死に距離を置こうとするが・・・?
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タイトルの「ナイルパーチ」とは魚の名前で、栄利子が仕事で扱っている食用魚である。
そのナイルパーチには、ひとつ大きな問題がある。放流されると、すぐさま他の淡水魚を食いあらし、生態系を破壊するのだ。
その習性はまるで、栄利子そのものなのだが、実は「ナイルパーチ」なのは栄利子だけではないというのが、この物語の凄いところ。
なかでも、派遣社員・真織の存在には要注目。人を和ませるキャラクターでいつも女友達に囲まれている人気者真織が、ナイルパーチ栄利子の毒牙に襲われた瞬間、思わぬ反撃に出る。この豹変ぶりは、餌を見つけたクリオネもかくや。この物語の大きな見どころである。
さらに、ひどいのは「女」だけではないのもいい。
「女同士の友情などない」「女の嫉妬は怖い」・・・そんな言葉を並べ立てる男たちは、果たしてどうなのか?
そもそも、誰とでもほどよい距離を保ちながら、いわゆるジョーシキ人として生きられる人なんて、どれだけいるのか?
上手くいけば人生を豊かにするが、一歩間違えると人生を破壊する「人間関係」。その恐ろしさを、女子会に留まらず人間会にまで広げてえぐり出している点は、もう見事としか言いようがない。人間でいるのが嫌になってくるほどだ。
絶対に深入りしたくないタイプの人間ばかり登場する、「ナイルパーチの女子会」。
読みながら、「あー、こんな人が周りにいなくて良かった」と安堵する人も多いだろう。
しかし同時に、こうも思うに違いない。
「あれ?もしかして・・・私自身が、『こんな人』なのか・・・も・・・?」
ナイルパーチ自身は、自分が生態系を壊しているなんて露ほども思っていない。
本書は、そんな戦慄の事実を、読む者全員に突きつけているのだ。
※絶対にドラマ化してほしい!というわけで、恒例「勝手にキャスティング」。
栄利子:仲間由紀恵
翔子:麻生久美子
杉下:岡田将生
真織:柳原可奈子
賢介:塚地 武雅
(本文引用)
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面白い・・・おっそろしく面白い。頭の中が24時間、この本でいっぱいになった。
読んでいる最中はストーリーに没入し、読んでいない時は、物語を思い出しては身震いし、時に自分を主人公に投影させ、吐きたくなった。1つの物語にこれほどどっぷり浸かったのは、何年ぶりだろう。
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志村栄利子は、容姿端麗・頭脳明晰で一流商社に勤めている。家では、エリートの父親と家事を完璧にこなす母親が守ってくれる。
そんな、全てをもっているように見える栄利子だが、彼女には欲しくて欲しくてたまらないものがあった。
それは「女友達」。
読んでいる最中はストーリーに没入し、読んでいない時は、物語を思い出しては身震いし、時に自分を主人公に投影させ、吐きたくなった。1つの物語にこれほどどっぷり浸かったのは、何年ぶりだろう。
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志村栄利子は、容姿端麗・頭脳明晰で一流商社に勤めている。家では、エリートの父親と家事を完璧にこなす母親が守ってくれる。
そんな、全てをもっているように見える栄利子だが、彼女には欲しくて欲しくてたまらないものがあった。
それは「女友達」。
栄利子は、あるブログを読むのにハマっており、そのブログ主に近づく機会をうかがう。
文章と写真からブログ主の居場所を割り出し、ついに栄利子はブログ主・翔子と出会う。
意気投合する栄利子と翔子だが、次第に栄利子は、翔子の私生活やブログに激しく干渉してくるようになる。突然の自宅訪問、実家帰省中に届く何十通ものメール、ブログへの悪意に満ちたコメント・・・。
実は栄利子は、過去にその性癖から、幼なじみの人生を壊したことがあった。
翔子は栄利子から、必死に距離を置こうとするが・・・?
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タイトルの「ナイルパーチ」とは魚の名前で、栄利子が仕事で扱っている食用魚である。
そのナイルパーチには、ひとつ大きな問題がある。放流されると、すぐさま他の淡水魚を食いあらし、生態系を破壊するのだ。
その習性はまるで、栄利子そのものなのだが、実は「ナイルパーチ」なのは栄利子だけではないというのが、この物語の凄いところ。
なかでも、派遣社員・真織の存在には要注目。人を和ませるキャラクターでいつも女友達に囲まれている人気者真織が、ナイルパーチ栄利子の毒牙に襲われた瞬間、思わぬ反撃に出る。この豹変ぶりは、餌を見つけたクリオネもかくや。この物語の大きな見どころである。
さらに、ひどいのは「女」だけではないのもいい。
「女同士の友情などない」「女の嫉妬は怖い」・・・そんな言葉を並べ立てる男たちは、果たしてどうなのか?
そもそも、誰とでもほどよい距離を保ちながら、いわゆるジョーシキ人として生きられる人なんて、どれだけいるのか?
上手くいけば人生を豊かにするが、一歩間違えると人生を破壊する「人間関係」。その恐ろしさを、女子会に留まらず人間会にまで広げてえぐり出している点は、もう見事としか言いようがない。人間でいるのが嫌になってくるほどだ。
絶対に深入りしたくないタイプの人間ばかり登場する、「ナイルパーチの女子会」。
読みながら、「あー、こんな人が周りにいなくて良かった」と安堵する人も多いだろう。
しかし同時に、こうも思うに違いない。
「あれ?もしかして・・・私自身が、『こんな人』なのか・・・も・・・?」
ナイルパーチ自身は、自分が生態系を壊しているなんて露ほども思っていない。
本書は、そんな戦慄の事実を、読む者全員に突きつけているのだ。
※絶対にドラマ化してほしい!というわけで、恒例「勝手にキャスティング」。
栄利子:仲間由紀恵
翔子:麻生久美子
杉下:岡田将生
真織:柳原可奈子
賢介:塚地 武雅