誓約 薬丸岳

冗談じゃない。あんな約束を守れるはずがないだろう。
(本文引用)
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 いやもう、とにかくストーリーが凝っていて驚いた。読んでも読んでも全く結末が見えず、途中何度、最後のページを開きそうになったことか。
 それをグッとこらえて読み切った今は、気分スッキリ。超難解なジグソーパズルを完成させたような爽快さだ。まさか、あんなところに最後のピースが転がっていたとはねぇ・・・。
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 主人公・向井聡は、妻子とともに幸せな家庭を築いていた。
 しかしある日、聡のもとに一通の封書が届く。中を開けると、一言だけ書かれた便箋が入っていた。 

「あの男たちは刑務所から出ています」



 実は聡は16年前、1人の女性とある約束を交わしていた。それは、自分の命を助けてもらうかわりに、2人の男を殺すというものだった。

 あの約束のおかげで、一命を取り留めた聡。しかし、あの約束のせいで、幸せな家庭も人生もこわしかねない聡。絶体絶命の状況のなか、向井聡はどうするのか。
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 この物語の核は、聡が約束を果たせるのか否かだ。しかし、それだけに注目していると、見事に足をすくわれる。
 「まさか、こんなところからすでに物語が始まっていたなんて・・・」「そういえばそんなことを言っていたような気がしたけれど、気にも留めてなかった・・・」なんて、人によっては激しく落ち込んでしまうかもしれない。
 しかし、そう嘆くことはない。この謎に気づいたとしたら、おそらくそれは超能力者か作者自身であろう。それほど、この物語の謎解きは巧みだ。

 一方で、人間ドラマとしても面白く読める。悪がうごめくなかで光る、少しの善、優しさ、慈悲。悪が悪を征するような物語のなかで、登場人物たちが時おり見せる豊かな人間味は、心に響くものだ。
 正直に言って、ここまで後味の良い作品とは思わなかった。読み始めた頃は嫌いだったキャラクターが、結末では大好きに・・・なんてこともあるかもしれない(実際、私がそうだった)。

 非常に重いテーマであり、かつ凝りに凝りに凝ったストーリー展開だが、敬遠せずに手に取ってみてほしい。心にスッと涼風が吹きぬけること請け合いである。

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アコチム

Author:アコチム
反抗期真っ最中の子をもつ、40代主婦の読書録。
「読んで良かった!」と思える本のみ紹介。
つまらなかった本は載せていないので、安心してお読みください。

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